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人口変動に伴う衆議院議席の10増10減

 衆議院においては、人口変動に伴う議席の10増10減もあって、東京都は従来の小選挙区が25議席から30議席と5つ増えました。比例東京ブロックも2議席増えます。それもあって、いままでの地盤とは違うところの投票箱に入れる都市部の有権者と向き合わなければならないこともあり、結構選挙活動が大変なんですよね。

 この10増10減も、つまりは「人口が減少している地方から、都市部へ議席が移る」ことを意味し、もともと憲法では国民はすべて平等であるという前提から一人一票が大原則になっておるわけです。私は国民が平等であるのは良いことだと思うし、地方が衰退しているのは課題であるとはいえ、都市部に住むサラリーマンなど働く世帯が地方に配慮して政治的に割を喰う義理はなく、民主主義的に健全であろうとするならば一人一票の格差是正のために選挙区を常に弄るのは正しいことだと考えます。

 今回の統一地方選挙で東京の自民党がぼろ負けしたことは、自民党系の現職も首長も各候補者がいかに都市部で有権者(都民)に浸透していないかの証左であるとも言えます。端的に言えば、自民党都連の敗北は、個々の議員の活動量の低下で地域住民から名前も覚えてもらえていないことに他ならず、自民党の看板は地方選挙では必ずしも有利ではないという面があるかもしれません。

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 それは、自民党の旧来の政治手法である、地元の支持組織や事業者、商店街などを通じた本来の自民党固定票の質の低下が激しいということの裏返しでもあります。

創価学会のメンツ丸つぶれの一方で、自民党は単独で戦えず

 今回、公明党に対して自民党の中から「高齢化し、衰退し始めた創価学会に、そこまで頭を下げる必要はなくなった」と豪語する党幹部の声が多数聞かれます。

 しかも、本当にそう思っているものだから、テレビ番組からの雑な取材で平然と政治家がそう答えてしまって、創価学会のメンツが丸つぶれになっています。通常の企業であれば、メディアに出るような公式発言を構成員がする場合は広報を通すべきところ、政治の世界では政治家個人個人が好き放題に喋って良いという仕組みになっているところが多いので、自公分裂を煽るメディアにより自民党幹部の意見が都合よく利用されている面があります。でも普通、仲良くしないといけない協力先のことをオフレコとはいえメディアで派手にDISったりしないもんでしょ。そういうとこだぞ自民党。

 しかし、実際には創価学会の集票力の低下以上に、自民党の地方組織が劣化し、地方議員を維持する力が減衰したうえに、その地方議員たちを足腰として選挙戦を戦う都市部の国会議員も高いはずの支持率の割には票が集まらなくなっています。そして、故・小渕恵三さんが仕込んだ自公協調は24年間にも及び、うっかり公明党がきっちり支援してくれてきたものだから、この公明党からの支援が失われると自民党単独で国政選挙を戦えなくなってしまっています。