ここまでこじれると関係修復は極めて困難
同じようなことは、岸田文雄政権を声量の大きさで支える木原誠二さんや、同じく岸田政権の現役閣僚である小倉將信さんら、本来なら盤石の戦いができるはずの政治家が調査では軒並み苦戦となっております。裏を返せば、都市部で低迷を始めていた自民党の集票力では、公明党の助力なしには厳しい選挙戦になってしまうことの証左です。
普通に行くと東京選挙区で自民は8勝21敗から10勝19敗ぐらいの結果になってしまうのではないかと予想されます。
もちろん、四半世紀にも及ぶ長年の協調関係から現場の自民党と公明党の支援組織同士で仲が良いところも多いのですが、政党同士がいかに補完関係であったとはいえ、ここまでこじれると次回衆院選に向けての関係修復は極めて困難と言えます。
組織の引き締めもままならない組織運営のなあなあさ
なんでこんなことになったのか、と頭を抱える人たちも多いのでしょうが、やはり元はと言えばこれらの自公協調を危機に晒すことになった自民党都連幹事長の高島さんの責任も大きいでしょう。そもそも何で統一地方選挙の敗戦の総括もやらんのかという点は気になりますし、誰も責任を問う声を上げないのも異常です。まるで自民党の都議ほか地方議員は「国会議員が落ちてくれれば次に国政選挙に出られるのは俺だ」と、上層部の失敗待ちをしているかのような動きです。そりゃ組織力も集票力も低下しますって。
自民党が地方組織で、特に都市部で減衰しているように見えるのは、こういう組織運営のなあなあさ加減で、組織の引き締めもままならない状況だからじゃないかと思うんですよね。高島さんへの責任追及の話すらなかなか出ない、萩生田さんが推す安藤高夫さんは自公協調を危機に晒すほど重要な政治家なのかと誰も異議を唱えられないあたりに課題があるんじゃないでしょうか。
自民・公明が24年間も一緒にやってきた明暗がくっきりと
また、公明党は公明党で、今回の自公分裂に関する報道が激化したこともあってか、国民へのヒヤリングを重ねていくとかなり強烈に警戒され、嫌われている面が強く出ています。
個人的には自民党の暴走を抑えられるのは公明党なのだという考えはもっていますが、今回の自公分裂報道で連立解消すべきと考える有権者が6割に迫る状況を鑑みると、党勢の回復とは別に何か手を早急に打たないと国政政党としての公明党は役割を終え、地方組織だけになることも念頭に置いた活動に追い込まれるのではないかと危惧するところです。創価学会の人に話を聞くと、もう国政で無理をするよりは地元の生活に密着した地方組織だけでいいんだという考えも根強いようで、自民党幹部にそこまで嫌われてなお協力するべきかというところに逡巡しているようにも見えます。
今回の一件は、良くも悪くも小渕さん以降、下野もありつつ自民党と公明党が24年間も一緒にやってきたことの明暗がくっきり分かった事件とも言え、両党の抱える悩みも課題も希望も未来もなんとなく見えたなあというのは良かったんじゃないでしょうかね。
何より、この7月に選挙をやらずに秋以降に持ち越すと、防衛費増額を理由に国民負担は上がり、異次元の少子化対策でも財源問題が出る一方、ガソリン代の補助も切れて地方経済はますます大変になります。エルニーニョ現象が来て猛暑の夏になると、電気代の値上がりも心配です。岸田政権にとって、内政問題が続く当面は、自力で支持率を上げられるイベントもないんですから、なんだかんだ来年まで選挙しないんじゃないですかね。
いやー、選挙しないで欲しいですね。岸田さん、来年の総裁選前まで粘ろうよ。ねえ。