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足立区で候補の3分の1が落選 公明党以下の集票力

 例えば、その結果で騒然となった足立区議選。ここでは自民党が擁立した19人のうち、区議会会派の幹事長も含めて3分の1にあたる7人(現職5人と新人2人)が落選してしまいました。

 その後、立憲民主党所属の足立区議が偽ブランド品販売で書類送検されていたことが判明して区議を辞職して、自民党候補が繰り上げになったため、公明党と並んで足立区最大勢力となりました。なんとか自民党の体面は保ったとはいえ、人口密集地での都市部選挙では、自民党も公明党以下の集票力しか持ち合わせていないというのが現実です。

東京 足立区議会議員選挙2023 自民候補の3分の1が落選 何が起きた?
https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20230524b.html

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 では、この自民党の東京での惨敗を受けて、何らかの敗戦の総括がなされたのでしょうか。また、多数の議員を落選させ失った責任を取って、誰か幹部辞任なり処分なりが下されたのでしょうか。

公明党から突きつけられた「地に堕ちた信頼関係」

 同様に、自民党都連が公明党から選挙協力を断られるきっかけとなったのは、自民党都連の幹事長、都議の高島直樹さんの発言がトリガーのひとつとされています。もともと、自民党と公明党とで5つ増える東京小選挙区の配分をするのだから、北区を中心とする旧12区で当選した公明党・岡本三成さんが旧12区の一部地域を含む荒川区を中心とする新29区に移りたいと考えるのは主張としては妥当と言えます。

 これに対して、高島さんが、自民党の地元組織が納得しないという理由で岡本さんの国替えを容認できないと拒否してしまえば、公明党から「信頼関係は地に堕ちた」と東京での関係解消を突き付けられるのもむべなるかなの趣です。

 また、公明党が候補者の擁立を希望した新28区についても、萩生田光一さんが義理深く安藤高夫さんの擁立を押し通そうとしたことも問題の一端となりますので、自民党都連ぐるみで公明党を切りにかかったと思われても仕方がない面はあります。

地方の固定票を離れ、都市部の空中戦ありきの選挙戦へ

「10増10減」とは人口減少が進む地方から都市部に議席を移す作業であり、一票の格差に関連する訴訟で違憲判決が出るレベルの差が生じれば公職選挙法を見直して改正し、定数是正をし続けなければなりません。少なくとも、衆議院は地域代表ではありませんので、あくまで人口に応じた一人一票に準じた議席配分にならないといけないのです。

 いまの人口動態がそのまま継続することになると、2028年ごろには北海道、秋田県、岡山県などを中心にもう一度都市部に議席を寄せる6増6減か8増8減をやらなければなりません。つまり、自民党にとっても公明党にとっても地方の固定票を中心とした議席確保から、都市部の空中戦ありきの選挙戦に移行しなければならなくなっている、と言えます。