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 高橋 アニメの兵器は運用面まで考えておいてほしいんですよ。例えばこの三段空母だと、多段式空母は同時発着できるところにメリットがあるのだから、本来は最上甲板がアングルドデッキである必要はないんですよね。

 小泉 アングルドデッキとは、艦の向きに対して斜めにつくられた甲板のことですね。

 高橋 『トップガン マーヴェリック』のラストでも戦闘機が斜めに着艦してネットで止めてもらってる。斜めの甲板がないと、着艦するときに毎回甲板の上をすべてクリアにしないといけないから同時発着艦ができないんですね。でも飛行甲板が複数あれば、最上甲板で着艦して、下の甲板で発艦できるから、運用的にアングルドデッキは必要ないはずなんですよ。

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 小泉 でもたとえば、この軍では交戦初期段階においてカタパルト5個全部つかってたくさん戦闘機を出すドクトリンなのかもしれない。ぼくが一個気になるのは、この三段空母はエレベータがものすごくデカいんですよ。戦闘機のサイズからすると、どう考えてもこんなに大きなエレベータはいらないはず。これは一体どういうドクトリンなんだろう。

 高橋 たぶん雷撃機とかも使うからじゃないかな。

 小泉 ああ。

 太田 劇中では第一空母が戦闘機、第二空母が急降下爆撃機、第三空母が雷撃機、って並べてるんですよね。現実にはありえないけど。雷撃機とかはかなりでかくて、この飛行甲板ギリギリくらいの大きさ。

 小泉 だからこんなにデカいんだ。

「ミノフスキー粒子」導入は天才的ギミック

 太田 そうなんですよ。『ヤマト2199』ってすごい凝ってて。第二次大戦の空母戦を再現しようとしているから、レーダーが使えなくて有視界で戦闘するしかないという設定にしていて、そういうこだわりが泣かせますね。

 小泉 それで言うと『機動戦士ガンダム』が「ミノフスキー粒子」というギミックを導入したのはやはり天才的だと思うんですよ。

当日は太田啓之さん、高樫杉雄さんが持ち込んだプラモデルやグッズが所狭しと机上に並んだ

 太田 富野(由悠季)さんは『ヤマト』で4話の絵コンテを描いているんですよ。それで、「こんなにいい加減なお話をSFとか戦記ものと呼ばせたくない」って激怒しちゃって仕事を降りちゃったらしいんですよね。

 小泉 面倒くせええ(笑)。想像がつく面倒くささ。

 太田 富野さんほど嫉妬深い人もいないですね。『ガンダム』始めたときは『ヤマト』をものすごい意識している。『ヤマト』を超える、『ヤマト』を潰せ、って本人が言ってましたから。だから『ガンダム』では戦争を描こうという強烈な意思があった。それでロボットの戦争アニメにどうやってリアリティを与えるのか考えていって、ミノフスキー粒子という設定をつくる。あと結果的にはそうならなかったけど、ジオン軍は量産機であるザクしか出すつもりなかったらしいです。

 小泉 へー!

 高橋 それはもう『装甲騎兵ボトムズ』のアーマードトルーパー世界ですね。

 小泉 連邦軍側はどうする予定だったんだろう。

 太田 たぶんジムは出す予定だったんじゃないかな。ガンダムが試作型で、そのあとに量産型のジムが出てくる。