「ミュージカルは大好きですが、こんなにたくさん歌ったり踊ったりする役で出るのは初めてです。とても楽しみな反面、もちろん不安も。この舞台のために始めたボイストレーニングの成果が出せるよう、日々、稽古に励んでいます」
1歳で芸能界デビューし、俳優としてのキャリアは子役時代を含めて16年という鈴木福さん。まもなく公演が始まるミュージカル『カラフル』で主人公の〈ぼく〉を演じる。
原作は、人気作家・森絵都による児童文学のベストセラーだ。〈ぼく〉は、大きなあやまちを犯して死んだ魂。あてどなく宙を漂っているところに、突然、風変わりな天使のプラプラから声を掛けられ、もう一度、地上に戻って“生き直し”をすることに。ただし、戻る先は他人の体。〈小林真(まこと)〉という、自殺をはかって死んだ少年の中だった――。
「若い人向けに書かれていて、すごく読みやすいお話です。でも、いきなり、自殺という重いテーマが登場して驚きました。それに、真の家族や友達が抱えている問題も、ひとつひとつ、どれも闇が深い。〈ぼく〉自身も、あやまちを犯した罪深い魂だから、基本、素直じゃなくて尖っていて……。それなのに、読み終わった時には、前を向いて生きていこうって思える。とても素敵な作品だと思いました」
小林真の体に“ホームステイ”して日常を送りながら、〈ぼく〉は幾度となく考える。「なぜ、こいつは死のうなんて思ったんだ?」。そして真が直面していた数々の悩み、孤独、大人への不信感、あっけなくも残酷な失恋など、思春期特有のさまざまな心の揺れを、“真として”体験していく。
「小林真として生きる〈ぼく〉。これを舞台で表現するには、僕はどんな演技をしたらいいんだろう? 戸惑いはあります。でも、普段から、あまりガチガチに役づくりはしないんです。どちらかというと、その場に身を置いてみて、空気を感じて、自分のやるべきことを見つけて選んでやっていくタイプ。その発見を見逃さずに、だんだん〈ぼく〉をつかまえていくつもりです」
〈ぼく〉を導く天使プラプラを演じるのは、鈴木さんにとっての初ミュージカルだった2017年の『ビッグ・フィッシュ』で共演した川平慈英さん。2人のコンビネーションも見どころになりそうだ。
「川平さんとまたご一緒できるのはうれしいです。前回のミュージカルよりもいっそう、歌でやり取りをするシーンが多いので、そのレベルをどこまで上げられるのか。これは僕にとって挑戦です。でも、舞台のいいところは、映像でのお芝居と違って、何度も同じシーンを演じる機会があること。それに甘えるわけではないですが、稽古中でも公演中でも変化ができる。その変化を楽しみながら、この舞台を通じて、俳優として成長したいと思っています」
演出、脚本、作詞を手掛けるのは数々のミュージカルの演出や創作で定評のある小林香さん。ほかに彩乃かなみさん、川久保拓司さんなどが出演。
すずきふく/2004年、東京都生まれ。1歳でテレビ初出演を果たし、07年に子役デビュー。11年、フジテレビ系のドラマ『マルモのおきて』で大ブレイク。以降、テレビ、映画、舞台、CMなど出演多数。さらにニュース番組のコメンテーターや情報番組のパーソナリティーを務めるなど、活動の幅を広げている。
INFORMATION
ミュージカル『カラフル』
7月22日~8月6日、東京・世田谷パブリックシアター。その後、兵庫、茨城、愛知で公演予定
https://setagaya-pt.jp/stage/1858/