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「歴史小説を書きたいというより…」

――これからも歴史小説を書いていくご予定ですか。

垣根 歴史小説を書きたいというより、書きたい人がいたら書きたい、という感じです。最初に「何々を書きたい」というのがあれば、「じゃあそれを書くためにどうすればいいだろう」と、頭が回り始めるので。

――今、書きたいものはありますか。

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垣根 多少はありますよ。今も書いていますし。もし書きたいものがなくなったらどうしようかと思う時もありますが、それはそれでいいのかと思います。僕が書きたいことを書かないと、読んでいる人も面白くないだろうし。書きたいものがなかったらずっと寝て暮らして、てれんぱれんして遊んでいたい(笑)。

©文藝春秋(撮影:深野未季)

――ところで、『ヒートアイランド』シリーズの続篇は書かないのですか?

垣根 あのシリーズはヤクザから上前をはねようとする裏金強盗の話ですけれど、今の時代、まあ難しいんですよ。日本という国にお金がなくなって、ヤクザが貧乏になって、裏金というのがほぼ存在しない世界になっていますからね。ただ、まだ裏金強盗のリーダーの柿沢という人間の内面を一回も書いていないんです。柿沢の内面を書く時が最後だと思っています。あらかた設定はしてるんですけれど、いつ書くのかな、という感じです。

――今後の刊行予定などは。

垣根 今は『武田の金、毛利の銀』という、『光秀の定理』のスピンオフみたいなものを書いています。それと「週刊ポスト」で『蜻蛉の夏』という、止観という瞑想法を使う若者たちの話を連載しているところです。