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「もともと私は病気と障害を持っている」19歳で売春を覚え、21歳で街娼に…“彼氏”監視のもと「立ちんぼ」を続ける女性の壮絶人生

『ルポ 新宿歌舞伎町 路上売春』 #1

2023/07/29

genre : ライフ, 社会, 読書

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「もともと私は病気と障害を持っている」

「もともと私は病気と障害を持っている」と梨花は話した。若干の斜視と、軽度の知的障害である。一見すると梨花は、斜視も言われるまで僕には気づけなかったし、質問に対する受け答えもハキハキしていたしで、貧乏暮らし以外はどこにでもいそうな21歳に見えた。

 だが、勉強がすごく遅れていて、小2より普通学級から離れて特別支援学級で学校生活を送るような子どもだったと話す。とりあえず高校までは行かせてもらったが、入学したのはやはり町田市内の特別支援学校で、それもほとんど出席しなかった。いわゆる不登校だった。

 梨花には同じ中学校に、中3の終わりごろから付き合う同い年の彼氏がいた。梨花はその彼氏のことが本当に好きで、ゆくゆくは結婚を考えていたという。しかし別々の高校に進学し、ふたりは離れ離れになると、梨花はあっさりフラれてしまう。そして失恋をきっかけに、精神を病みリストカットを繰り返すようになった。「この人がいないなら私死ぬ、みたいな」と梨花が話したように、精神安定剤の大量摂取、いわゆるODもしたが、ついに死ねなかったという。

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 それだけ本気の恋だったが、時がたてばなんとやらで、アルバイトで貯めたカネで金髪に染めたりピアスをあけたりしてそれなりに楽しい高校生活を過ごした。

「もう完全にオトコ依存症。恋愛してないともうだめ、っていう」

 相手がカラダ目当てであっても、一緒にいてくれさえすればそれでいい――。タガがはずれた梨花は、手当たり次第に男漁りをしたことで、若いカラダという武器を使えば男は優しくしてくれることを知ったのである。

 高校卒業から1年半ほどして歌舞伎町で遊ぶようになった19歳の梨花は出会いカフェの存在を知り、自然、周囲に流されるようにして売春を覚えた。コンドームは着用しないが膣外射精をしてもらう“生外”を条件に、1回1万5千円から2万円で若いカラダを売った。同時にマッチングアプリでの男漁りにも目覚め、そこでひとりの男と知り合い交際する。

 ホストの集客方法は2013年に施行された『新宿区公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例』により、ここ数年で路上でのキャッチからツイッターやインスタグラム、マッチングアプリなどのSNSに様変わりした。それを知ってか知らずか、その彼氏が「たまたま売れないホストだった」と梨花は話した。

 単にそのホストから「本営」を掛けられただけではないのか。本営とは、ホストが客にしたい女性に対して「本命の彼女」を装う営業方法で、表向きは恋愛感情があるような態度を取っているに過ぎない。つまりは本命の彼氏のように振る舞ってはいるが、店で“彼氏”を指名してそれなりのカネを使わなければ関係は続けてくれないという利害をともなう。

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