文春オンライン

「もともと私は病気と障害を持っている」19歳で売春を覚え、21歳で街娼に…“彼氏”監視のもと「立ちんぼ」を続ける女性の壮絶人生

『ルポ 新宿歌舞伎町 路上売春』 #1

2023/07/29

genre : ライフ, 社会, 読書

note

「ヤクザみたいな人です。で、出稼ぎで稼いだ35万円と、これ以上逃げられないようにスマホとカバンも没収、みたいな。ホストはそこまでやるんだよ。スゲエよ。諦めるホストも多いって聞いて軽い気持ちで飛んだけど、その人はトコトンまで追いかけるタイプだったみたいで」

 そこから東京へ戻され、“彼氏”に監視されながら出会いカフェでの売春で残り25万円の借金返済の日々は始まり、いまに至る。公園を知ったのは、やはり出稼ぎを教えてくれた出会いカフェの売春仲間からだった。

 25万円などすぐに返せると思っていた。だが出会いカフェでの売春を覚えてから数ヶ月が過ぎていた梨花は、好事家たちからすでに“ベテラン嬢”とみなされていた。

ADVERTISEMENT

 だからというわけではないが、客が思うように取れなくなっていた梨花は、「ならやってみようか、みたいなノリで始めた」と振り返る。

 そのころ公園は、街娼の素性や売値を記したある好事家のツイートがバズり、女の子と買春客とで溢れかえっていた。

「多い日で4人とか5人とか。(売値は)1(万円)とかイチゴー(1万5千円)とかで。最近は、今日あまり客が付かなそうだなって思ったら、ホテル代込みで1万とかに値下げして、とりあえずネカフェ代やメシ代を確保するとかはあるけど」

「デリヘルとかで働くことも考えてはいるよ」

――でも、その金額だとその日の暮らしで終わっちゃわない?

「まあそうだね。でもメシ代なんてそんなにかからない」

――いつも何を食べてるの?

「コンビニ弁当かな。お金があるときはネカフェ(アプレシオ)でカツカレーとか注文したりするけど」

――ちょっと贅沢にしゃぶしゃぶとか焼肉とか食べないの?

「自分のお金では行かない。たまにお客さんに奢ってもらうことはあるけど」

――借金は?

「2週間くらいで返し終わったよ。夜9時ごろ、“仕事”を終えて泊まってるアプレシオに帰るよね。すると翌日の昼、“彼氏”がアプレシオに来てその日稼いだぶんを回収していく感じで。東京に戻ってネカフェ(インターネットカフェ)暮らしを始めたのは1ヶ月半前のことで、最初はグランカスタマ(ハイジアからほど近いインターネットカフェ)にいたんだけど、なんか店員が男性客と話すなとか急にうるさくなって。それで友達から『アプレ(シオ)のほうが過ごしやすいよ』って聞いて移ってきた感じ」

 “うるさくなった”とは、2022年6月11日に写真週刊誌『FRIDAY』が報じた「新宿・歌舞伎町にある『売春ネットカフェ』潜入ルポ!」の記事をさしていた。グランカスタマの個室で「ネットカフェ売春」が横行していることは、もとより広く知られた公然の秘密であったが、同誌は同店の実名を出し、改めてここが売春の温床であることを白日のもとに晒す。

関連記事