スポーツ庁長官の室伏広治氏による「吉田正尚選手の手紙」を一部転載します(文藝春秋2023年9月号)。
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吉田選手の「先生のような存在」
毎朝、スポーツ庁に出勤する前に吉田選手が出場するレッドソックスの試合を観るのが日課になっています。先日、164キロのデッドボールを右脚に受けた時はもう、抗議したいと思いました(笑)。膝下のところで、相当痛かったはずです。
初めて吉田選手に会ったのは、彼がまだプロ1年目で、シーズンを終えたばかりの2016年秋。もう7年前になります。それからの付き合いですから、とても他人とは思えません。「今日はどんな風にバットを振っているかな」「どんな表情でプレーしているかな」と気になる。逆境を見事に乗り越えた彼の活躍に、僕もいまは完全なファン目線で、みなさんと同じように感動しています。
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WBCで日本代表の4番を務め、14年ぶり世界一の立役者となった吉田正尚選手(30)。全7試合に先発し、打率は4割超。勝負強い打撃で大会歴代最多となる13打点をマークした。今季、オリックスから米ボストン・レッドソックスに移籍し、メジャー1年目にして首位打者争いにも加わっている。
そんな吉田が「先生のような存在」と慕うのが、ハンマー投げの五輪金メダリストで日本選手権20連覇を達成した、スポーツ庁長官の室伏広治氏(48)だ。
173センチの小柄な身体を目一杯使う吉田のスイングは特に腰椎への負荷が大きい。慢性的な腰痛に苦しみ、現役続行も危ぶまれた時に頼ったのが室伏氏だった。
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