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 刺された体験を聞いた後にゴンズイを食べようなんて思う人はいないと思うが(私も刺されて以来ゴンズイを食べていない……)、実は高級魚に匹敵するほど、身に味わいがある。

 一番おすすめする調理は煮つけ。脂が乗っているので、煮たてた身はマアナゴのようにふわっとした白身で軟らかく、タレとの馴染みが良い。また、鼻から抜ける独特な香りがゴンズイの旨さの真髄でもある。当然、天ぷらにしてもその旨さは健在で芳醇な香りを楽しめる。皆様には痛い思いをしないように食卓まで運んでほしい。

刺されると酷い後遺症が残ることも…

 狙って釣る人は少ないが、小魚の泳がせ釣りや魚の切り身などを使ったブッコミ釣りのゲストとして釣れてしまう非常に厄介な魚であるアカエイ。

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意外と釣れるアカエイ

 生息域も広く、内湾、外洋はもちろん汽水域まで遡上するほど生命力が高いことでも知られる。私の経験では房総半島の先端から隅田川の中流域まで釣れたことがあるため、釣れない場所を見つける方が難しい。

 そんなアカエイの毒棘は尻尾にあるのだが、尻尾全体が棘になっているわけではなく、表を向けて真ん中あたりから10cmほど尾棘が伸びている。

アカエイの尾棘。持ち帰る場合は棘を釣り場に放置してはいけない

 これまで紹介した魚とは違い、棘が長い。そして、アカエイの尾棘もゴンズイ同様にノコギリのようなカエシがあるため、かすめただけでも深刻なダメージを受けやすい。特に刺傷の場合は後遺症が残った症例もあるので、釣れた場合は尾棘の射程圏内に近づかずリリースしたい。

アカエイが釣れたときの注意点

 アカエイが釣れてしまったときに注意すべき点は2つ。

(1)タモでランディングするとき

 タモですくって陸に上げる瞬間が、最もアカエイの尾棘に手や身体が近づくタイミングなので、アカエイがネットを破って尾棘を振り回すことを想定した距離感でランディングを行おう。

タモに収まらない場合は注意が必要

(2)仕掛けを外すとき

 エサ釣りの場合は口に針がかかっていることがほとんどなので、尾棘から遠いところで針を外すことになるが、アカエイは危険を察知すると長い尻尾を振り回したり反り返って抵抗するため油断は禁物。環境負荷を考えると望ましくはないが、無理に針を外さずハリスをカットしてリリースするといった判断も重要になる。

 なお、毒魚に刺されてしまった場合は痛みを我慢せず、すぐに釣りを終えて適切な対処をしよう。病院に向かうことも一つの選択肢である。

 私自身も、釣りの最中に知人がアカエイに刺されてしまった経験があり、病院まで付き添ったことがある。数センチの切傷でも我慢できない痛みに悶絶しており、とても自力で運転できる状態ではなかった。刺された瞬間はアドレナリンで興奮状態になり、大丈夫な気がすることもあろうが、時間と共に身動きが取れなくなる可能性も低くない。手遅れになる前に救急車を呼ぶ勇気も必要だろう。