実は美味しいアイゴ料理
アンモニア臭の根源は内臓。食べない場合はその場で取り除いておきたい。しかし、ゼンマイと呼ばれる内臓の煮つけは瀬戸内では珍重され、濃厚でお酒のあてとしても最高の一品だ。
また、捌いた時点で腹身に脂が乗っていればお刺身でいただくのをおすすめしたい。脂の旨味とシャキッとした身の歯ごたえを堪能できる。
特に秋の脂が乗った個体はリリースするのがもったいないほど美味だ。ただし、食道や胃袋は食べて間もない未消化物があるため取り除いた方が良い。
見た目は可愛い! でも死に至る危険性もある魚
ナマズ目の魚で見た目もマナマズを手のひらサイズに縮小したようなゴンズイ。
尾鰭をひらひらと左右に振りながら泳ぐ姿はアクアリウムの一員にもなるほど癒し系だが、ひとたび刺されるとアイドルの仮面を被った危険な魚だと察するだろう。堤防での投げ釣りや足元に垂らした胴突き仕掛け、ウキ釣りでも釣れるため、実は遭遇率の高い有毒魚である。
ゴンズイの毒棘は胸鰭と背鰭にあるため素手で掴むのは大変危険。エラをカットして血を抜くか頭を落として絶命させてから鰭をカットすると安全だ。
釣れるサイズは10~20cmと小型であるものの、グリップ力の弱い魚掴みだと体表のヌメリで滑りやすく、暴れたタイミングですっぽ抜ける恐れがあるため、がっしり握れるものが良い。
また、どの魚にもいえることだが、大人しくなったように見えても触った瞬間に暴れだして手を引く前に刺されてしまう。実際に、このパターンで私は一度ゴンズイに刺されたことがある。まず、刺された瞬間に注射とは比較にならない激痛が走った。一瞬のことで何が起こったか分からないほど。
そして、実はゴンズイの毒棘はノコギリのようなカエシが付いているため、引き抜く際に皮膚をえぐるので傷痕が広くなる。すぐさま刺された指が腫れてきてズキズキとした疼痛が続く。数時間で肘まで腫れあがり、腕全体が鈍い痛みに襲われる。プライヤーを使わなかったことを後悔するまで時間はかからなかった……。
ゴンズイの毒は、アイゴ同様にタンパク毒なのでお湯に患部を浸けることで痛みが緩和する。とはいえ、釣り場でお湯が手に入るほうが珍しい。自動販売機のホットドリンクを当てるなどの応急処置を施すのも一手だ。