首に突き刺さり死亡した事例も…矢の如く人を襲う脅威の魚
ダツはこれまで紹介した魚と違い、毒棘を持っているわけではない。しかし、場合によっては身体に障害が残るほどの大けがをする危険が潜んでいる。というのも、ダツの両顎はくちばしのように鋭く伸びて、さらに硬いのでこれが矢のような殺傷能力を持つのだ。
さらに光源に向かって突進する習性があるため、ナイトダイビングや夜間の漁での事故も報告されている。漁師からは“サメよりも怖い存在”と言われ、過去には首や目に突き刺さって死亡した事例もある。
聞いただけでも恐ろしい魚だが、海のルアー釣りやコマセを使ったウキ釣りでも簡単に釣れてしまうほど近海を群れで回遊している。
明るい時間に釣り上げたダツなんてまるで陸に上がった河童のようだと、甘く見ていたら大間違いだ。ダツは素手で掴もうとすると大暴れして尖った顎を振り回すので、最悪の場合、陸でも目や身体に突き刺さる恐れがある。さらに、脅威は尖った顎だけでない。致命的なダメージを与えるため、噛みついた獲物を離さないよう、鋭い歯が顎に目いっぱい生え揃っているので、針を外す際も注意が必要だ。
リリースする際はタオルを被せて可動域を抑えたら魚掴みで頭を掴んで素早く逃がそう。
牛肉をも喰らう海のギャングことウツボ
黄色を基調としたファンシーな柄が特徴的で、生活環境に溶け込むための保護色で身を隠す魚とは真逆の進化を遂げた魚。一般的なスーパーなどでは流通しないが、高知県や千葉県、和歌山県などの産地ではウツボを使った郷土料理や専門店、お土産があるほど食文化も発展している。
ウツボもダツと同様に有毒ではないが、凶器のような鋭い歯と、その威力を何倍にも補強する咬合力を持ち合わせているため、海のギャングと呼ばれている。これまで紹介した魚よりも釣れるエリアは限られ、黒潮の影響を受ける太平洋沿岸の磯場や、磯と隣接する漁港などに生息する。