ウツボが釣れたときはどうすればいい?
毎年のように房総半島で釣っているが、ウツボはいまだに油断できない魚の一つ。大袈裟かもしれないがウツボに噛まれたら“終わり”だと思っている。ウツボの歯は針のような剣山タイプではなく、一本一本がナイフのような刃物になっている。そのため、噛まれれば傷口は深く鋭く切り裂かれるため流血量も多くなる。運悪く生身の手首を噛まれたときには死に至る可能性まである。
また、ウツボを陸に釣り上げたとしても完全に人間が主導権を握ったわけではない。短時間であれば、皮膚呼吸もできるウツボは、陸上で獲物を捕食できるほどの、地上での方向感覚もある。針を外そうとした釣り人の腕を狙って噛みついて来ることもしばしばだ。フィッシュグリップで静止できるサイズでもなければプライヤーの柄の長さではとても安全マージンを確保できない。
そのため、持ち帰る場合は少し荒業になるものの、棒や大きめの石で頭を叩いて完全に締める必要がある。アジや青物などの魚は徹底して血抜き処理をして持ち帰るので、美味しくいただくためにこの方法が最適とは言えないと自覚しているが、ヒヤリハットを経験しているので、確実にケガをしないやり方として参考にしてもらいたい。
ウツボは何をしても美味しい!
そんなウツボを料理するなら、一番のおすすめは鍋。虎柄の皮は見た目とは裏腹にゼラチン質で火を通すと柔らかくなる。身は弾力があり噛みしめるとウツボの旨味が染み出て箸が止まらない!
タタキやから揚げにしても、皮と身のそれぞれ異なる食感が独特で、他の魚では味わえない食味になっている。釣れた場合は安全を確保したうえで持ち帰ってみるのも一考だ。
触るな危険! 海の毒毛虫ことウミケムシ
投げ釣りの天敵としても知られるウミケムシは、環形動物の多毛類という括りでは我々が普段釣りで使用しているイソメやゴカイの仲間である。しかし、決定的な違いはその毛量と有毒であることだ。ふわふわで柔らかそうに見える毛だが、触ると細かい繊維が皮膚に突き刺さり、痺れなどの炎症を引き起こす。
見た目が圧倒的にグロテスクなので触ってはいけない生物であることは一目瞭然だが、油断は禁物。私の場合、大阪でアナゴ狙いの投げ釣りをしていたころ、釣れたウミケムシを横着して素手で針を外したところ、毛が指に刺さり酷い目に遭った。
日本海の一部沿岸では大量繁殖しているとの情報も目にする。私が釣りをするエリアだと、地元の岡山県瀬戸内市の漁港で2本針の仕掛けにウミケムシが2匹釣れる地獄のような状況に陥ったこともある。