被害者の日記が公開されていた
さらに、このホームページでは公判速記録も掲示してあるが、実際には、織原被告の主張に沿ったところだけを抜粋して構成し、いかにも公平性に欠けている。当然、検察側の公判尋問や証人の証言は載せていない。
公判中にもかかわらず、その裁判記録の公表を指導したとされる検察官や裁判官はすべて匿名であり、もしも実在の人物がいるとするなら、このホームページを見て卒倒するだろう。一番の問題は、ルーシーの日記の一部が公開されていることで、検察側が裁判所に証拠として提出したものを、ホームページの主宰者がどのように入手したかだ。
この日記は、ルーシーが行方不明になった平成12年7月2日、友人のルイーズ・アン・フィリップスと一緒に借りていたアパートの部屋に置かれていたもので、同月4日、ルイーズが麻布警察署に「家出人捜索願」を出した後、捜索の助けになれば、と任意提出したものだった。
こうした遺留品は本来、遺族に帰属するものだが、裁判が継続している間は返却されない。もちろん、個人のプライバシーにも関係するため、公開も許可されない。
日記を渡したのは誰なのか
では、ホームページの主宰者を名乗る「真実究明班」にルーシーの日記を渡したのは誰なのか。消去法でいくなら弁護団か、あるいは弁護団が直接ホームページを作成していたかのどちらかだろう。
平成18年12月11日に裁判は結審しているが、ホームページはその2か月半前の同年9月25日に突然開設された。まさに織原被告を無罪にするためだけの目的で開設された、と言っても過言ではあるまい。
すでに始まった司法裁判員制度において、被告側の弁護士が検察に提示した数々の証拠を簡単にインターネット上で開示したのなら、法廷の信用が崩壊してしまう危険性は否定できない。
インターネットのホームページは、世界中どこでも開くことができる。このページの主宰者は、ルーシーの母親が閲覧することを予想していなかったのだろうか。
父親が受け取った「1億円」
さらに驚くべきことは、織原がルーシーの父親であるティモシーに“お悔やみ金”として渡した1億円の受領書と上申書までもが、平成18年11月13日付けで、ホームページ上に掲載されたことだ。
その全文をあえて記す(ホームページには英文と翻訳された和文で掲載)。