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「僕、あの、土曜日、日曜日、カリタさんとね、いたわけですから。警察のほうで疑っているっていうのはどういう意味なんですか」

 事態はカリタの容態とともに急速に悪化していたのだろう。織原はこの時、自分の身に危機が迫っていることを自覚したのかもしれない。

「警察は、大使館や医師からも調書を取っています」

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 内海がこう言うと、織原は、

「電話をかけると、やっぱりこちらの、住所とか全部言わなきゃだめなわけでしょう?」

 と本音らしき言葉を口にし、警察への連絡を躊躇っていた。

「何も連絡しないと不利ですよ」

「そうかなー、電話しちゃおうかなー」

 警察へ行ってくれるよう、内海は重ねて促した。

「あのねー、ま、でも、いいですよ。電話しますよ。警察のほうに……」

 しかし、過去の記録を調べても、織原が武蔵野署へ連絡した形跡はなかった。織原は、自分の身に迫り来る事態を恐れて、自己保身に走っていたに違いない。

女友達による追及

「平成4年2月21日午後2時15分」のテープには、こんな会話が録音されている。

 相手はカリタの女友達であるイタリア人女性のサンタ。織原はサンタの周囲にサマンサや内海がいないことを確認した上でいている。

「確か、日曜日(2月15日)の晩だったと思いますが、カリタが自分の友達に電話していて、私は隣にいたものですから会話を聞いたわけですが、あなたとの会話について教えていただけませんか?」

「どうしてそんなことを聞くんですか?」

「どうしてって……私、カリタの友人でして。それに、医者が帰ったあと、彼女は友達にまで電話して……」

 サンタは、その電話を受けたのは私だと認める。そして問い返す。

「病院にカリタを連れて行ったのはあなたですよね?」

「ええ、月曜日に。月曜日の朝には、容態は日曜日より悪かったです。歩くことはできましたけど。ゆっくりとした足取りでした」

織原が主張したこと

 織原は、カリタから頼まれたこととして、3つの項目を挙げた。