経済学を身につけず社会に出て、悩む人は多い。本書の企画者もそのひとり。
「私は英文学科出身で、経済学を知らずにビジネス書を手がけていることにずっとコンプレックスがありました。しかし学ぼうとしても、難解な上に分量も多い本ばかりで、手頃な本がない。そこでミクロ・マクロ経済学両方の必要な情報を1冊におさめたコンパクトな本を作れないかと思ったのが、企画の始まりでした」(担当編集者の田中怜子さん)
まず紀伊國屋書店新宿本店の強いプッシュで人気に火が点いた。新聞広告でも、小さな枠ながらキャッチーなタイトルで話題に。さらに東京大学駒場キャンパス(学部の1、2年生が主に通う)の生協で2015年下半期経済部門1位のセールスを記録。その情報を帯に採用すると全国的に学生層へ人気が波及した。また『週刊ダイヤモンド』の経済学特集で著者が取り上げられたことにより、高年齢層にもリーチ。当初想定していた30代、40代の社会人もあわせて、幅広い読者が手にとるようになった。
「図版などわかりやすくする工夫にはかなりこだわりました。しかし経済ではなく経済“学”を学ぶ本として、著者が最低限必要と判断した数式はすべて載せています。世の中の現象をモデルで解説することに経済学の意味がある。ですから、たとえ難解だろうとその一点は譲れませんでした」
学問に対する誠実さも、ヒットに繋がった一因か。
2015年4月発売。初版6000部。現在13刷16万2000部