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2回目のオファーで受けた『ファミリーヒストリー』

――『ファミリーヒストリー』によって、お父様のことがいろいろと判明しましたが、これまでにご自身で調べようと思ったことはありませんでしたか。

草刈 調べるうんぬんということは、僕にはなかったです。その理由は、そうですね……。何度も言うけれども、やっぱり最初から父親がいない環境で育ってきて、「そういうものなんだ」ということだったからでしょうね。

――では、NHKから『ファミリーヒストリー』のオファーが来たことで「父について知りたい」というスイッチが入った。

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草刈 実は『ファミリーヒストリー』が番組としてスタートして間もない頃にも、オファーがあったんですよ。いまから、14年か15年くらい前でしょうか。

「どうしようかな」と考えたんですけど、おふくろが一言「やめなさい」と。おふくろは2010年に77歳で亡くなっているんですけど、当時はまだ元気だったんでね。「こういう話が来てるんだけど」と、話してみたんです。まぁ、おふくろとしては、仮に親父のことがわかっても、アメリカで暮らすあちらの家族の方々に迷惑が掛かると思ったんじゃないですかね。なにも知らなかった僕のほうでも、そういった気持ちはありましたし。

 

 それと番組でも出てきましたけど、やっぱり当時も名前の綴りが壁になったんです。スペルはトーラか、トーラーなのか。僕は、母からロバート・トーラだとは聞いていたけど。

――番組ではTORA、TOLA、TORRA、TOLLAなど、スペルの違うトーラ姓が8827件。トーラー姓も合わせて、全米18万3864件を精査する事態になっていましたね。

草刈 最初のオファーを受けたとき、スペルについて番組のほうで多少は調べていたようなんです。そのときもNHKのほうから「スペル、わかりませんか?」と尋ねられましたけど、僕はスペルまでは聞いてなかったので。スペルがわからないと、調査するのは非常に大変だそうで。おふくろの「やめなさい」と親父の名前のスペル、その2つでやめちゃったんです。

――今回、十数年越しのオファーが実ったと。

草刈 そうです。最近、2回目のオファーを頂いたんです。おふくろは亡くなっていましたし、娘の紅蘭と麻有も祖父のことを知りたかったのか「パパ、やれば」と言って背中を押してくれたこともありました。それで「じゃあ、やってみましょうか」みたいな。でも、僕は「おそらく見つけるのは難しいだろうな」と思っていました。