比喩的な意味で、つまり本来の宗教的な意味ではなく“聖地”と呼ばれる地は日に日に増えている。いまや、「聖地巡礼」といったらアニメなどに登場する舞台を訪れることとしてすっかり人口に膾炙しているといっていい。

 おかげで、日本全国あちこちに聖地が生まれ、町おこしに使われて、まるで全国総聖地。多少の無理をすれば、ほとんどの町になんらかの“聖地”を見いだすことができそうなくらいだ。

 そんな中、アニメが好きだろうがなかろうが、衆目が一致する聖地といっていい場所がある。甲子園だ。

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阪神“ナゾの聖地の駅”「甲子園」には何がある?

阪神“ナゾの聖地の駅”「甲子園」には何がある?

 兵庫県西宮市にある阪神甲子園球場はまさに野球の聖地……などというと、阪神ファンによるひいきの引き倒し感が否めないので、「高校野球の聖地」に留めておこう。これならば、誰にもケチのつけられない、圧倒的な聖地感。あれこれの聖地は数あれど、甲子園ほど聖地らしい聖地はないのではないかとすら思っている。

今回の路線図。大阪方向からも神戸方向からもアクセスの良い、海側の場所にある「甲子園」

 甲子園球場は、阪神電車のその名も甲子園駅の目の前だ。甲子園駅まで、大阪梅田駅からは特急に乗って13分。反対の神戸三宮駅からは約20分かかる。

 おおざっぱにいえば、大阪と神戸のおおよそ中間。甲子園駅は特急や急行を含めてほぼすべての列車が停まる主要ターミナルになっている。さすが聖地・甲子園球場の存在感と言ったところだろうか。

 

 高架の甲子園駅ホームには、試合開催日だけに使われる降車専用ホームも設けられている。そのままホームから球場へ……はさすがに行けないが、特攻服に身を包んだタイガースファンが大挙して押し寄せても混乱を招かないようになっているというわけだ。

 ただし、今回甲子園を訪れたのは高校野球もタイガース戦もないごく普通の日。なので臨時の降車ホームは稼働しておらず、通常の改札口を抜ける。改札口の前に広がっているのは、もはや聖地そのものであった。