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「地震でものすごく暇ですわ。大赤字もいいとこです」浜茶屋の経営者が嘆く窮状《能登半島地震から半年、戻らない日常》

どうなる能登の観光#1・金沢からなぎさドライブウェイ編

6時間前
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 普通の砂浜ならタイヤが埋もれてしまうのに、ここでは走れる。秘密は砂だ。白山に源流を発する石川県最大の河川・手取川は暴れ川としても知られており、日本海に大量の砂を運ぶ。海岸に打ち寄せる砂は河口から離れるほど粒が小さくなり、千里浜なぎさドライブウェイ付近では0.2mmぐらいになるのだという。また、この辺りの砂浜は傾斜が緩やかなので海水で湿っている。粒の大きさがそろった砂が湿ると、固く引き締まるから、観光バスでも走れるのである。

 石川県観光連盟のHPには「青空の下、打ち寄せる波のすぐ横を颯爽とドライブ。映画のワンシーンのような光景」と書かれている。

道路情報などが細かく書き込まれた能登半島の地図(金沢駅観光案内所)

震度7でも奥能登ほど被害は大きくなかった志賀町

 その先の志賀町にも見どころがある。「巌門(がんもん)では、能登金剛遊覧船が運航しています」と案内デスクの職員が教えてくれた。

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 断崖や奇岩が続く「能登金剛」の海岸でも、一番の見どころは巌門だ。浸食でできた洞門が幅6m・高さ15m・奥行き60mもの大きさになっている。

 しかし、志賀町と言えば、能登半島地震で震度7が計測された地ではないか。大丈夫なのだろうか。

「実は揺れのタイプが珠洲市や輪島市とは違っていたようです。両市ほど被害は大きくありませんでした」と案内デスクの職員が解説する。

 砂浜道路、そして絶景の海岸。能登観光の魅力は「海の美しさ」である。

「お勧めした千里浜や巌門は能登半島の西側にあり、荒々しい日本海に面しています。夕陽がとっても美しいだけでなく、夏の穏やかな海はすごくキレイです」。説明しているうちに思い出したのか、職員は次第にうっとりした顔つきになる。

穏やかな七尾湾と「のと鉄道」…地場産の魚介類も味わえる

「かたや能登半島の東側には七尾湾があります。穏やかなので全く違いますよ。七尾市には被害が大きかった地区もあるのですが、七尾駅から穴水駅(穴水町)に向けて第三セクター『のと鉄道』に乗ってみてはどうでしょう。車窓から静かな七尾湾や、昔ながらの漁村風景が見えて、こちらも本当にキレイです。終点の穴水駅の隣には『道の駅あなみず』があり、土産物が充実しています。列車の応援かたがた買物をしてきたという人もいらっしゃいます」

能登半島の自治体地図(能登値域半島振興計画より)

 のと鉄道は地震で全線が不通になり、4月6日に完全復旧した。車窓からはブルーシートがかかった屋根や崩れた家など沿線の生々しい被害も見える。美しい海だけでなく、こうした現実をしっかり目に焼き付けることも重要なのだろう。