「今、スペインでブームのラーメンを作りたくて購入しました。YouTubeを見て『かつお節で』だしを取るとおいしくなる、と言っていたので」
家庭でも、レストランでも
スペインのアリカンテでシェフをしているエロイ・フアレスさんは、家に和田久のかつお節を常備しているという。
「日本食を作る以外に、スペインのトマトサラダや、豆のシチューなどにも入れて使っています。スペイン南部では生マグロを塩漬けにし、天日干ししたモハマ(Mojama)という料理があって、かつお節と味が少し似ているので南スペイン人には馴染みやすい味です」
また、筆者が先日訪ねたスペイン北部のバルでは、スペインのポテトサラダである「エンサラディージャ・ルサ」にかつお節がのっていた。オーナーに尋ねると、和田久の「花かつお」を使っているという。「日本のマヨネーズと花かつおはスペイン料理とも相性がいいので、常備している」と言っていた。
筆者もまた、和田久「花かつお」の愛用者である。和田久の大きく削られふわふわした花かつおは、そのままごはんにのせて食べられるほど、カツオの旨味が凝縮されていてコクがある。
「止まれないカツオと一緒なんです」
かつお節の需要が高まっている今、和田さんはかつお節以外にもホタテの貝柱や魚貝の乾物などの販売にも注力している。そして、「最後に大きなビジネスがしたい」という。
「スペインで開発したこの製造方法を日本へ持っていって、日本で工場を作れたらいいなと思っています。日本への恩返しというか、ベンゾピレンが出ないかつお節を日本で作ってみたいです。あとは、独立志向のある若者の背中を押していきたいですね」
和田さんがヨーロッパを飛び回っている間、日本の運営は弟と姉が手伝ってくれている。リモート会議を頻繁に行い、進捗報告をしあう。取材日もスペイン時間早朝5時からリモート会議をしていた。
「社員に、いつも社長がいなくてごめんねって言うと、『いないほうが楽です』と言われます。そういってもらえるほうが、私のいいところも出せるし」