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とりあえず作るかって、できた曲が「サムライソウル」

――ただそのときの民生さんの言葉が、トータスさんを引き留めるきっかけになったんですよね。

トータス そうそう。帰ってから、民生くんがえらく熱心に引き留めてくれたなと思って、ベタに言うと愛情を感じたって言うんですかね。仮にバンドのメンバーに先に話してたら、メンバーはたぶん反対しなかったと思います。優しいから、僕を尊重して、わかったって。

 でもメンバーに言う寸前の、絶妙なタイミングで民生くんに呼び出されたんです。人をターヘー扱いする変な引き留め方だけど、あんなに引き留める人もいないなと思って。それでとりあえず曲でも作るかって、できた曲が「サムライソウル」(06)。

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©三浦憲治

 民生くんに怒られるまでは、曲を作る気なんて全然起きなかったんですよ。でも民生くんがそこまで言うなら、やっぱり音楽を続けたほうがいいのかなと思って、ちょっと作りはじめたらメロディーができてきて。歌詞は浮かばないけど、三船敏郎しか頭にないから「みふねとしろう」の「あいうえお作文」で歌詞を書いて、じゃあ侍の歌でいいかなみたいな。

民生くんはウルフルズの音楽が好きだったんじゃないですか

――そうしてウルフルズの代表曲のひとつができあがったんですね。お話を聞いてると、民生さんがトータスさんのことをどれだけ好きかがわかります。

トータス 人はよくそう言うんですよ。民生くんはトータスのことが好きだよねって。でも僕というか、ウルフルズの音楽が好きだったんじゃないですかね。その一点に尽きると思います。04年の「J-WAVE LIVE」で、「ウルフルズ with 奥田民生」としてライブをしたときに、僕は大丈夫かなと思ってたんですよ。百戦錬磨の民生くんを呼び込んだものの、民生くんが乗っかれる力量が俺らにあるのかなって。

 それで「こんなふうに演奏しようと思ってるけど大丈夫?」って聞いたら、「大丈夫。だってウルフルズだよ?」って言われたんです。それを聞いて、ウルフルズをすごく信頼してくれてるんだなって。そのウルフルズで曲を書いて、歌ってる松本だから、下手やけどまあよしっていうことなんじゃないですか(笑)。