(3)賃貸または売却する

 実家などが売れるかどうかは大きな関心事です。手入れが行き届き、築年数も浅い物件ならと考えがちですが、大都市圏であればいざ知らず、地方の不動産マーケットは縮小の一途です。家族で気に入っていた家でも、他人から見て利用価値があるかはわかりません。

 現在ではネットが発達していますので、各種仲介サイトで検索して、家の所在するエリアで売買が行なわれているかを調べてみることから始めましょう。売却サイトを覗けば、同じ地域や街で売りに出ている物件の売却値段や敷地面積、建物面積、間取り、築年数などが表示されていますので参考になります。ただ、価格はあくまでも売り主の希望価格ですから、表示価格から1、2割差し引いて考えておくとよいです。ある程度目途がつくようならば、仲介業者に相談してみましょう。大手サイトも良いですが、家が所在する町の不動産屋のほうが、親身になってくれることが多いです。町の不動産屋はその地域内で商売をしていますので、あくどい仕事をして妙な噂が立つことを嫌うからです。

 相場がないような地域でもあきらめるのは早いです。空き家バンクに登録して、全国に幅広く移住希望者などの目に触れるようにするのも一手です。またお隣さんに声がけするのもよいです。「隣の土地は倍出してでも買え」という格言がありますが、マーケットでは無視されるような家でも、お隣さんから見れば、子供や孫の家として、あるいは更地にして庭を拡張したい、自家農園として使いたいなどいろいろな希望があるものです。

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 また賃貸でも、一般にはニーズがなくても最近では多拠点居住を運営する業者があって、家を借り上げて多拠点居住を行なう会員に貸し出すサービスなどもあります。景観が良い、観光地に近いなどの特徴がある家であれば打診してみるとよいでしょう。

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