ただデューディリジェンスを行なったうえですぐにリフォームを行なうのは禁物です。家をどのように活用するのか戦略を練ったうえで必要な箇所に必要な手を入れることが肝要です。ではデシジョンツリーに戻って戦略を構築していきましょう。
(1)当面の間、空き家として管理する
あまりおすすめしませんが、相続人の意見がまとまらない、親は老健に入所中なので亡くなるまではそっとしておきたい、など家族にはさまざまな事情があります。その場合、当面は管理のみ行なっていくという選択肢は十分ありえることでしょう。
空き家管理は、現在では多くの業者が取り扱うようになりました。専業というよりも町の不動産屋などがサイドビジネスとして引き受けるケースが多いようです。サービス内容はさまざまですが、もっとも軽微なもので月1回程度の見回りおよびレポートです。月額数百円から1000円程度の費用のものが多いです。もうすこし踏み込んで、郵便物の取り扱い処理、外構(門、車庫、塀など建物外部の構造物)の清掃、植栽管理などを行なうものは作業内容によって異なりますが月額数千円から。さらに家屋内に入って、通風、通水や害虫処理などを行なうもので月額2万円から3万円程度のものが多いようです。
それぞれの家の事情に応じて使い分けることをおすすめしますが、こうした管理サービスを利用する場合、心がけたいのが「出口」をあらかじめ決定しておくということです。空き家管理は「問題の先送り」にすぎないからです。したがって何年間、管理しておくか、期限を決めておくことです。そうでないと、だらだらと管理だけを続けていくことになり、何ら解決の方向性は見えないからです。いくら適切な管理を行なっていたところで、家はどんどん劣化していきます。結果として使いものにならなくなっていく運命です。
家をどうするのか「出口」をあらかじめ設定し、その期限が来たらトリガー(引き金)を引くことです。


