(2)家自体を有効利用する

 家の有効利用は賃貸ばかりではありません。地域には特定の利用を欲しているケースがあります。具体的に見ていきましょう。

・グループホーム……認知症のお年寄りなどが共同で生活をすすめる家として今、グループホームの需要が拡大しています。すこし大型で部屋数が多い家などが適合します。比較的長期で使ってもらえるので空き家の活用には適当です。

・シェアハウス……一軒家で賃貸するのが難しくても、若者や外国人などを対象にシェアハウスとして利用してもらうものです。ソファや建具類をそのまま使えたりしますので、有効利用としては手軽に活用できます。

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・地域共生の家……空き家を地域住民の憩の場として活用するものです。東京の世田谷区では一般財団法人世田谷トラストまちづくりが二十数軒の家を地域に開放しています(2024年7月現在)。具体的にはカフェや囲碁、将棋、チェスなどを楽しむ場、図書室、ギャラリーなどとしてです。地元行政などと相談のうえ活用するとよいでしょう。

・こども食堂……経済的に恵まれない子供たちなどを対象に食事を提供するこども食堂は現在、全国的に広がりを見せていますが、空き家を活用する手段として注目されています。

・民泊……増加を続ける外国人観光客などを対象に、住宅を宿泊場所として提供するものです。2018年6月には住宅宿泊事業法が施行され、法の管理のもとに営業が認められるようになりました。具体的には各自治体に「住宅提供者」「管理者」「仲介業者」を届け出てそれぞれの役割と責任を明確にしました。住宅提供者は地元自治体に届け出が必要です。また民泊の運営にあたっては種々のルールが定められましたのでこれを遵守する必要があります。また運営期間は年間で最大180日に制限されており、自治体によってはさらに営業できる地域の限定や独自の運営期間を定めているところもあります。

 国土交通省によれば、2024年7月12日現在で住宅宿泊事業の届け出を行なった件数は4万2010件、うち廃止届出数は1万6684件です。かなり普及が進んできました。観光需要が見込める地域では検討してみることをおすすめします。