口説き文句は「今度ゴジラやるんだけどさ」

深緑:『ゴジラ-1.0』のVFXでは何に一番予算をつけましたか?

山崎:圧倒的に水ですね。“海のゴジラ”って見たことがなかったので。『シン・ゴジラ』とは違うことをやらなきゃいけないなかで、野島(達司)がすごくいい海を作っていたので「このクオリティでやれるんだったら、いいシーンができるぞ」という算段が立ったんです。

深緑:“ひとりハリウッド”の田口さんといい、やっぱり人ありきなんですね。

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山崎:完全に人ですね。よく宮崎駿さんがいいアニメーターを庵野さんや高畑さんと取り合ったって話があるじゃないですか。完全にあれと同じです。三茶のスタジオでいいものを作った人を何とか調布のチームに連れてこられないかとか、すごい活躍しているフリーランスの人にどうやったら来てもらえるかとか。

深緑:どうやって、そういう方たちを口説くんでしょうか。

 

山崎:もちろん僕も出ていきますし、今回でいえばゴジラっていうのがデカかったです。随分長いこと、ゴジラでCGはできないという時代が続いていたんです。あれは東宝特撮班がやるもので、CGの入る余地はないんだと。それが『シン・ゴジラ』以降、完全にシフトしちゃった。あれを見て「うわ、ゴジラやりたかったな」と沸々としていた人たちを「今度ゴジラやるんだけどさ」って誘ったら、それは「万難を排してやります!」となりますよね。