“良い仕事”がクリエイターをつなぎ留める

深緑:そういったクリエイターの方たちと表現や技術について話したりしましたか?

山崎:あまりディスカッションはしないです。普段から「こういうのがやりたいんだろう」というのを感じているので。「やってみる?」と言うと、「いいんですか!」みたいになることが多いです。

深緑:それぞれのスタッフの長所を活かしていく感じですか?

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山崎:「このコンテに対してどういう答え出してくれるの?」という感じですよね。間違ってたらもちろん言いますけど、大体みんな、僕が何を好きかも分かっているので「こういうのがいいんでしょ」って出してくる。そこはうまく関係性ができていると思います。僕自身、技術者だったので彼らの気持ちがよく分かるんです。得意なものを振られた時に、最高の答えを出してやるのは本当に楽しいことなので。

深緑:皆さん、別のチームに移ったりしないんですか?

山崎:そこは面白い仕事でつなぎ留めておかないと。人間関係ももちろん大事なんですけど、「これ、俺がやったんだぜ」と言える仕事をいかに用意できるかってことが、結局はクリエイターをつなぎ留める一番の方法じゃないかなと思っているんです。『ゴジラ-1.0』は、それが非常にうまいこといったので、しばらくはこれで何とかなるかなと。

撮影:深野未季

スタッフロール (文春文庫 ふ 52-1)

スタッフロール (文春文庫 ふ 52-1)

深緑 野分

文藝春秋

2025年3月5日 発売