「発言の根拠を示せ」「情報源は言えない」

 16日の大蔵委では横銭議員が参考人として出席。「与党、横銭氏に詰寄る」(同日付朝日夕刊見出し)展開もあったが、横銭議員は「記憶違いがあった」として、あらためて会合の事実を述べた。

 それは、(1)1~3月の間に古荘頭取を中心とした会合が7~8回開かれ、岸首相、一万田蔵相、川島幹事長らが出席した、(2)これらの会合で千葉銀行問題のもみ消し工作が行われた、(3)政治献金があった事実は未確認――という内容。これに対して与党議員が「発言の根拠を示せ」と迫ったが、横銭議員は「情報源は言えない」と突っぱねた。

与党は横銭議員に詰め寄った(朝日)

 午後の参考人質問では、古荘前頭取が(1)(横銭発言の)1000万円の手形は事実だが、「レインボー」への融資で、政治資金には充てていない、(2)一万田蔵相から「よろしく頼む」という親書を受け取ったのは事実――などと述べた。

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 17日には一万田蔵相が同委で社会党議員の質問に、親書は山村議員から頼まれて書いたことを認め、「不注意だった。社交的な意味で、『金を貸してやれ』ということではない」と答えた。首相以下、政府与党で名指しされた政治家は政治献金はもちろん、会合も否定。17日付朝日「記者席」は「与野党のドロ試合の様相を深めてきた」と書いた。実は衆院開催が迫っていた。そして――。

「千葉銀行問題」は打ち切りに。残ったのは……

「(19)58年に入ると、国会には解散風が吹くようになった。既に前回の選挙から3年がたち、この間に内閣が3つも代わっているので、解散は近いとみられたことから、代議士たちが選挙運動に力を入れるようになったのである」=石川真澄「戦後政治史」(1995年)

 19日付朝日朝刊はこう報じた。

「衆院大蔵委員会は18日、古荘千葉銀行前頭取、正力国務相に対して質問を行った後、『大蔵省の千葉銀行に対する監督は遺憾の点が多かった』旨の決議を行い『千葉銀行問題』の糾明を打ち切った」

国会審議は打ち切りに(朝日)

 同じ日付の毎日も「千葉銀の調査終る」の見出しで、読売は社会面トップで「国会はもうカラッポ」と空席の目立つ委員会室の写真を載せた。20日付読売朝刊のユーモア投書欄「USО放送」はこう書いた。「千葉銀行問題 結局、レストランと料亭の名の宣伝で終わりそうだ。 国民」。

解散秒読みで「国会はカラッポ」と……(読売)

 確かに、残った問題は「レインボー」だけだった。