「この子、死んじゃうんじゃないか」りおなちゃんの母・佳寿美さんが抱えていた“不安”

――ようやく自宅で一緒に過ごせることに。

佳寿美 一緒に過ごせるのはうれしかったけど、最初は不安のほうが大きかったですね。1人でりおなの面倒を見られるのかなって。

 入院中に呼吸ができない状態になって、「この子、死んじゃうんじゃないか」と不安になるような場面も目の当たりにしたんです。

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「口からミルクを飲めない状態がいつまで続くんだろう」「この子はこのまま寝たきりになって、鼻から栄養を摂取して生きていくのかな」という心配もありました。

幼少期のりおなちゃん

――実際にご自身で面倒を見るのは大変でしたか。

佳寿美 入院しているとき、鼻から入れたミルクをすぐに吐き出していたんですけど、家に帰ってからもそれは変わらず……。ベッドでも吐くし、病院に行くために車に乗せると、車内でも吐く。

 原因がわからなくて病院に相談したら、お医者さんに「お腹にガスが溜まっているからかもしれない」と言われて。鼻からのチューブで胃の空気を事前に抜いてみたり、お尻から別のチューブを入れてガスを抜いてみたりしたんですけど、改善しなかったですね。

――ミルクの吐き戻しはずっと続いた?

佳寿美 何か月も続きました。生後5、6か月頃から離乳食が始まるからミルクが要らなくなると言われて。そこまでの辛抱だと思ってやっていましたけど、状況はあまり変わらず。しかも、離乳食が始まったら今度は、離乳食も食べないんです。

周りの子と比べてしまい、「かわいい」と思う余裕すらなかった

――どうしたらいいかわからなくなりますよね。

佳寿美 「このまま栄養を摂れないと、娘が死んでしまうのでは」と毎日かなり悩んでました。市の健診に行っても、娘みたいな子が1人もいないんです。そうすると、嫌でも周りの子と比べてしまって。

「この子はなんで私のもとに生まれてきたんだろう」と考えることもあったし、その頃は娘のことを「かわいい」と思う余裕すらありませんでした。

――ミルクも飲まない、離乳食も食べない状況が改善したきっかけは?

佳寿美 生後10か月の頃、私たちが食事している姿を見たりおなが、口を動かすような仕草をしたんです。「もしかしたら、私たちと同じごはんが食べたいのかもしれない」と思って、私のお茶碗から白米を取って食べさせたら、モグモグ食べだしたんですよ。ペッと吐き出すこともなく。

ごはんを食べるりおなちゃん

――まさか、いきなりごはんを食べるとは。

佳寿美 「アレッ!?」と思って、びっくりしましたね(笑)。そこからスムーズに食べられるようになって、鼻に入れていたチューブも取れました。