生活音、指しゃぶり、オムツ体操、泣き方……。赤ちゃんの毎日に即した項目が100以上細かに目次に並ぶ。

 京都大学名誉教授の脳科学者・久保田競(きそう)さんと、妻で“脳科学おばあちゃん”こと久保田カヨ子さんの共著である本書は、実は長らく“幻の育児書”だった。

 最初の刊行は1983年。脳科学とゼロ歳児教育に特化した育児書はソニー創業者・井深大氏らに絶賛されるも時の流れで絶版、古書市場では約3万円の値がついていた。

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 復刊は、担当者の寺田庸二さん(書籍編集局第二編集部)の熱意のたまものだ。

「競先生の著書の打ち合わせでご自宅に伺ったところ、吉本新喜劇のように賑やかなおばあちゃんがいたんです(笑)。自分の育児の悩みを相談するうちに出来上がったのが2011年の『カヨ子ばあちゃん73の言葉』でした」(寺田さん)

 以来、“カヨ子ばあちゃん”シリーズは累計34万部突破のヒット作となる。

「この頃に『赤ちゃん教育』を知り、名著だと思いました。育児を徹底して技術として語り、精神論に逃げないのが凄いところです」

 説得を重ね5年越しで復刊にこぎつけた。

「スキンシップという漠然とした概念の代わりに“C線維カレス系”という脳科学用語を取り入れたり、最新の研究成果も反映させています。ただ、加筆こそあれ、削る部分はほとんどなくて。それだけ普遍性のある育児書なんだと思います」

赤ちゃん教育――頭のいい子は歩くまでに決まる

久保田 競(著)

ダイヤモンド社
2015年6月26日 発売

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2015年6月発売。初版1万5000部。現在六刷4万2000部