「名探偵コナン」――漫画家・青山剛昌氏による同名コミックを原作とした、もはや説明不要の国民的アニメシリーズに、全く新しい“特別編”が登場した。今春より全国のプラネタリウムで順次上映が始まった『名探偵コナン 閃光の宇宙船』だ。
舞台は南の島、羽ヵ島。宇宙センターでのロケット打ち上げが、急遽中止された。その瞬間を楽しみにしていたコナンたち少年探偵団だったが、打ち上げ中止の理由を解明すべく、さっそく捜査を開始する。そこに、おなじみ西の高校生探偵・服部平次が合流。協力して捜査を進めると、思いもよらぬ真実が明らかに。果たしてコナンたちは、宇宙に渦巻く陰謀を阻止できるのか!?
「本作はコナンのプラネタリウム番組としては4作目となります。そもそも日本のプラネタリウムでは、海外のアカデミックなものとは違って子どもたちが楽しめる番組が多いのが特徴です。今回も、宇宙開発の最新事情を盛り込みつつ、コナンの物語を通じて子どもたちが宇宙や天文に興味を持ってくれたら、ということを意識して作りました」
そう語るのは、本作を企画から手がけた花光昭典さん。
「とはいえ、かつての紙芝居的な単純なものを想像されては困ります。ここ数年で、プラネタリウムの投影技術は格段に進歩しました。それに合わせて作品もグレードアップしているんです。普通のアニメ映像をただ投影するのではなく、ドームの特性を活かした全くオリジナルの映像作品として番組を作っています。子ども向けと侮らず、大人にも“新しいメディア”として見てもらえたら嬉しいですね」
「そうなんですよ!」と深く頷くのは、本作プロデューサーの藤堂真孝さん。これまで「名探偵コナン」のテレビシリーズや劇場版を数多く手がけてきたベテランだが、今回は勝手が違ったという。
「普段作っているアニメとは、あまりに仕様が違うので、最初は戸惑いました。スクリーンは180度以上あるし、観客は天井を見上げながら視聴するし。一番の違いは“画面の外側”まで求められたことでした。『そこ、いる?』って思わず聞き返しましたよ(笑)。つまり、四角い画面なら物語が進行しているメイン部分だけを作ればいいんですが、ドームではそうはいかない。例えば、樹木ならてっぺんまで、空は雲の上の上まで。右から左へと歩いていく通行人は、その先まで描かないと成立しない。いわゆる、フレームアウトという概念がないんです」
実際に本作を見てみると、その没入感に驚かされる。まっすぐ前を見ても真上や背後を振り返っても、同じ世界が一つの映像として続いている。確かに劇場や家庭では味わえない、特別な映像体験だ。
「発想の転換は大変でしたけど、アニメ表現の新たな可能性を感じましたね」と藤堂さん。「コナンの劇場版といえばアクションシーンが見どころですが、本作でもドーム映像作品ならではの迫力を追求しました。特にバイクチェイスでは観客が酔わないか心配になるくらい臨場感にこだわっています。ぜひ、最寄りのプラネタリウムで“体験”していただきたいです」
はなみつあきのり/1980年生まれ、神奈川県出身。2011年、D&Dピクチャーズに入社。プラネタリウム番組の制作に多く携わる。これまでに、プラネタリウム版『クレヨンしんちゃん』『すみっコぐらし』などを手がける。
とうどうまさたか/1983年生まれ、香川県出身。2005年、トムス・エンタテインメントに入社。テレビアニメや劇場版アニメの制作に従事。『名探偵コナン』『ゼロの日常』『犯人の犯沢さん』などのプロデュースを担当。
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プラネタリウム番組『名探偵コナン 閃光の宇宙船(ペイロード)』
配給:D&Dピクチャーズ
コニカミノルタプラネタリウム(有楽町・池袋・押上・横浜・名古屋)ほかで上映中。
https://planetarium.konicaminolta.jp/program/conan/




