その名も「ふじさん」という特急列車がある。新宿駅を起点に小田急線を走り、小田原を目前にしてJR御殿場線に直通。
そのまま箱根山の北側をぐるりと走って静岡県に入った先の終着駅が、御殿場だ。
静岡県“ナゾのアウトレットの駅”「御殿場」には何がある?
夏の盛りの特急「ふじさん」。東京都心と御殿場の間には高速バスも走っているから、混雑しているというほどではない。それでもそこそこにお客は乗っている。
彼らはだいたい、PASMOかSuicaで小田急線の改札を通った人ばかりだ。
が、御殿場駅ではそのままタッチして改札を抜けることができない。おかげで「ふじさん」が到着した直後の御殿場駅の有人改札には、ICカードの精算を求める人で長い列ができていた。改札にいる駅員さんも手慣れた様子で対応しているから、いつもの光景なのだろう。
そして、10分近く待たされたのちに改札の外に出る。橋上駅舎の西口は「富士山口」、東口は「箱根乙女口」と名付けられている。
特急「ふじさん」の終着駅・御殿場は、東に箱根山、西に富士山というふたつの名峰に挟まれた、高原の駅なのだ。
人の流れは意外にも箱根乙女口の方へ
というわけで、駅の外に出れば、東側には箱根山、西側には富士山がくっきりと……と言いたいところだが、お生憎様。
箱根山は手の届きそうなところによく見えるが、富士山は霞がかった空のおかげか、駅の周りに集まるビルのおかげか、姿を見せてくれていない。
それでも夏の真っ盛りの御殿場は、観光客の姿も目立つ。富士登山御殿場ルートのスタート地点でもあるから、これから日本一の山に挑もうというのだろうか。
そう思いきや、人の流れは意外にも富士山口ではなく箱根乙女口の方に向いている。



