日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」。最新号からダイジェストで紹介します。
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ニッセイ出向停止の余波
9月19日、一般社団法人生命保険協会は生命保険会社から銀行などの販売代理店への出向を原則廃止するよう求める指針を公表した。出向者が銀行の社外秘情報を不正に持ち出した不祥事が相次いだことを受けた措置で、日本生命保険(朝日智司社長)、第一生命ホールディングス(菊田徹也社長)、明治安田生命保険(永島英器社長)、住友生命保険(高田幸徳社長)の大手4社は出向停止の方針を示した。
発端は7月、三菱UFJ銀行(半沢淳一頭取)に出向していた日本生命の社員による不正持ち出しが発覚したことだ。日本生命の金融法人部門では、担当役員を含む約280人にデータを共有。情報には「内部資料もあるので(銀行への)逆流厳禁でお願いします」と押印する手の込みようだった。
日本生命の調査結果では、無断で取得した情報は大手行や地銀など7金融機関で計604件に上る。中には子会社のニッセイ・ウェルス生命(舘誠一社長)の社員がみずほ銀行(加藤勝彦頭取)などから内部情報を持ち出した事案も含まれる。「支店の業績評価体系やリテール部門の業務計画に関する資料も持ち出されていた」(メガバンク幹部)という。
今回の事案は、不正競争防止法の営業秘密の漏洩に該当しかねない。営業秘密に該当するか否かは「銀行が出向者と結んでいる守秘義務契約の内容に照らして判断されることになろう」(金融筋)とみられる。金融庁は日生に報告徴求命令を出すなど厳しい姿勢で臨んでいる。出向停止はやむを得ない措置といえる。
だが、これに頭を悩ませているのが地方銀行だ。横浜銀行頭取で全国地方銀行協会の片岡達也会長は「顧客の信頼を大きく損ねる」と非難したが、「大手銀行に比べて知見・ノウハウに乏しい地銀は、保険の販売で親密生保からの出向者に頼っていた」(地銀幹部)実態もある。
〈この続きでは、出向停止の影響について地銀幹部がコメントしています〉
※本記事の全文(約5000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年11月号に掲載されています(丸の内コンフィデンシャル)。全文では、下記の内容をお読みいただけます。
★ポスト北尾レースの号砲
公的資金の返済には大きな負担を強いられており、SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長にとって、再上場は早い方がいい。新生銀行のTOB(非上場化)に要した資金に加え…
★富士通を襲う巨額補償
富士通(時田隆仁社長)を巡る「英国史上最大の冤罪事件」に出口が見えない。ここ数年、英国全土を揺るがしてきたのが、1000人近い郵便局長らが濡れ衣を着せられた会計システム「ホライゾン」を巡る問題…
★トヨタ元副会長の秋波
トヨタ自動車(佐藤恒治社長)の米国販売が堅調だ。7月は前年同月比20%増の21万8022台、8月は同13.6%増の22万5367台となった。関税負担が続く中で販売が増えた要因について「実質的な値下げだろう」と同業他社幹部は推測…
【「文藝春秋PLUS」は銀行トップの肉声記事を多数掲載】
■連載「丸の内コンフィデンシャル」
【2025年】
7月号 パナ人員削減の裏側、西武に居住者の不満、樫尾家の院政は続くか、利権企業で相次ぐ騒動
8月号 トヨタの復権人事、日鉄が抱える課題、地銀再編の黒子、超大手に迫るゼネコン
9月号 日産工場「夢の跡」、ロート製薬の社長交代劇、ビットコイン狂騒曲、サンリオ御曹司の手腕
10月号 セブン銀出資の危うさ、パナ異例人事のウラ側、ゼンショー二代目の力量、ガンホーの「一発屋」
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