Perfumeの3人は上京後もしばらくはライブのたび、自分たちでチラシを配っては客を集めた。そのうちに、当時普及し始めたブログなどで面白いアイドルがいると広めてくれる人も出てきて、ライブの来場者も増えていく。筆者も、熱心なファンがブログで書いているのを読んで、インストアライブに足を運んだクチである。時期的には彼女たちが上京して2年目、インディーズレーベルから「ビタミンドロップ」と「モノクロームエフェクト」をあいついでリリースしたころだ。

インディーズシングル「モノクロームエフェクト」(2004年)

「Perfume、そろそろ厳しいんじゃないか」

 メジャーデビューシングルは2005年9月リリースの「リニアモーターガール」である。筆者は、リリース時に東京・汐留のCDショップでのインストアイベントにも行ったが、来場者はまばらだった記憶がある。整理券に印刷されたユニット名も「パヒューム」と微妙に間違われていたのも気になった。この時点で、彼女たちが数年後にブレイクし、東京ドームでコンサートを開いたり、ましてや海外進出するとは、どのくらいの人が予想できただろうか。

メジャーデビュー曲の「リニアモーターガール」(2005年)

 ちょうどこのころ、3人は高校2年で卒業後の進路を決めるにあたり、マネージャーから大学に行けるなら行ったほうがいいと勧められていた。彼女たちは卒業したらPerfume1本で頑張っていこうと、少しずつステップアップしていただけに、そう言われて「あ、仕事1本では無理なんだな」と思い知らされる。あとから聞いた話では、マネージャーは事務所側から「Perfume、そろそろ厳しいんじゃないか」と告げられていたらしい。

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 メジャーデビューにあたって、それまでの可愛いアイドルというイメージを一新して「近未来型テクノポップユニット」というコンセプト、「クール&ビューティ」というキャッチフレーズが打ち出されたのには、そうした周囲の危機感があったのかもしれない。当の3人はこれに対して戸惑ったという。3人のあいだでは衣装も可愛いワンピースをイメージしていたのに、「リニアモーターガール」の衣装はそれとは正反対のクールな印象を与える、真っ黒でシックなマキシドレススタイルが採用された。