Perfumeが2年ぶりに紅白歌合戦に戻ってくる。それと同時に彼女たちはこのステージをもって“コールドスリープ”(活動休止)へと入る。昨年、結成25年を迎え、今年はメジャーデビュー20年という節目だった。今年はメンバーのプライベートでも、11月にあ~ちゃんの結婚発表という大きな出来事があった。
CDデビュー以来、この3人で変わらず活動を続け、今や世界中で高く評価されるPerfume。その軌跡を振り返る。(全2回の2回目/はじめから読む)
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トレードマークは脅威のハイヒールダンス
Perfumeのすごさは、2010年の東京ドームでの初コンサートで採り入れて以来、トレードマークとなっているハイヒールを履いてのダンスにも表れている。もともと、衣装で用意してもらったヒールが3人お揃いで、それを履くことでダンスもきれいに揃って見えると本人たちが気づいたのがきっかけだという。2015年の結成15周年記念の武道館コンサートでは、さらにピンヒールへと替わった。
ステージでは彼女たちがあまりに難なく踊っているので、観ているほうは気づかないが、それをずっと続けられているのは日々の努力の賜物である。振付師、演出家として3人をずっとそばで見てきたMIKIKOも、それがいかに大変なことか強調したうえ、《ヒールを履きながら軽々と踊る身体を目指すと、普通はもっとアスリート然とした筋肉が付いていくはず》なのにもかかわらず、彼女たちが《細く、滑らかな脚線美を維持していること》に感嘆している(『Perfume Disco-Graphy Exhibition Catalogue』コンデナスト・ジャパン、2024年)。
どれだけ最先端の技術を採り入れようとも、Perfumeのパフォーマンスには温もりが感じられる。楽曲にも「ワンルーム・ディスコ」(2009年)のように生活感や人間味のある曲がしだいに増えていく。それはPerfumeの3人のキャラクターがこのころには聴く人に周知されたからでもあるのだろう。当時、のっちは《昔は近未来感を全面に出して、エナメルとかサテン生地とかそういう服しか着れないっていうイメージがあって。けっこうそれに縛られてたっていうか、そういうイメージを付けたいなっていうのでやってたんですけど、こういう私生活的な曲を書いてくれることによって、いろんなことができるっていうか。(中略)雑誌とかで普通の服着てても『平気だな』っていうふうになってきたし、それはありがたいですね》と語っていた(『ロッキング・オン・ジャパン』2009年4月号)。
長年チームを組むスタッフたち
楽曲を担当するサウンドプロデューサーの中田ヤスタカは、若い頃はあまりコミュニケーションを取らず、3人は怖いとさえ思っていたが、年を追うごとに、レコーディングで会うたびにたくさん話をしてくれるようになっていったという。最近では、彼が楽しんで曲をつくっていることが3人にも伝わってくるとか。
MIKIKOや中田ヤスタカといい、ライゾマティクスといい、特定のスタッフとこれほど長きにわたり一緒に仕事をしてきたアーティストも珍しいだろう。所属事務所のアミューズでも、彼女たちが高校生だったころから担当するチーフマネージャーをはじめ、長年チームを組むスタッフが存在する。それだけにPerfumeの3人も、自分たちだけではなくみんなでPerfumeをつくっているという意識が強い。





