コロナ禍で中止になった東京ドーム公演
翌年以降もさらなる活躍が期待された矢先、世界はコロナ禍に見舞われた。Perfumeも2020年2月の東京ドーム公演を初日はどうにか開催したものの、2日目は中止せざるをえなかった。コンサート中止自体はショックではあったが、コロナ禍のあいだ3人は焦らず、自分たちのペースを保った。9月には、それぞれが好きなことを語るなどさまざまなコンテンツを盛り込んだオンラインフェスを開催している。
2021年8月、1年半ぶりの有観客ライブを横浜のぴあアリーナMMで開催したとき、観客が声を出さないようしていたため開演直前まで静まりかえっていた会場から、拍手がだんだん大きくなっていく様子に、のっちは《今まで、みんなのつぶやきで私たちの身体が出来上がって、本物のPerfumeが現れるとか、みんなの思いが会場に集まってくるとか、そういうイメージを可視化した演出をしてきたけど、あれって本当だったんだ!って鳥肌たったんですよ。みんなの拍手の音で粒が集まって、私たちができていく。後になってあ~ちゃんとかしゆかに聞いたら、2人も同じように感じてて》と語っている(『音楽と人』2022年8月号)。ファンの思いが実体をもってダイレクトに彼女たちに感じられたということだろう。
のっちはまた、このときのライブで《私はなんのためにPerfumeののっちとして、日々過ごしてるのか、再確認したんですよね》、《ライヴで感じる、今ここにしかない空気を感じたくて、私はこういうことをやってるんだな、って》とも語っている(同上)。
のっちは昨年(2024年)、椎名林檎のアルバム『放生会』の1曲「初KO勝ち」に単独で参加し、椎名とデュエットした。椎名からはそれまで20年近くにわたり、紅白で一緒になったときなどことあるごとにアプローチされてきたという。それがようやく決意できたのは、彼女に言わせると、自分が何をやってもPerfumeだと心から思えるようになったからだという。
Perfumeは人生そのもの
のっちはもともと、あ~ちゃんとかしゆかが組んでいたところへ加入したこともあり、「Perfume像に私が追いついていかなきゃ」と考えるところもあったらしい。しかし、そんな思いも3人で活動を続けるうち解消し、《Perfumeは人生、っていうか、のっち自身なんだな、って。Perfumeとして咲いてる私がいちばん素直というか、自然なんですよね》と感じられるまでになったという(『音楽と人』2024年11月号)。



