ほかの2人にとってもPerfumeは人生そのものであり、自分らしくいられる場所だと、近年ことあるごとに口にしている。あ~ちゃんは2年前のインタビューで、Perfumeを続けるために、自分をバージョンアップしては納得させながら新たな章へとどんどん進んできたと明かしたうえで、《でも、そうやっていろんな章が始まってわかったのは、自分は自分のためだけに生きることに向いてないな、ってことだったんです。誰かありきの人生なんだなって。てことは、Perfumeが天職なんだなって》、《だから結婚とか家庭[引用者注:それらを持たなかったこと]について、後悔は全然なくて》と吐露していた(『音楽と人』2023年10月号)。

結婚発表直前に語っていたこと

 その彼女が今年結婚したのは、Perfumeと並行して自分のために生きてもいいと気づいたからだろう。その証拠に、結婚発表直前のインタビューでは、次のように心変わりをうかがわせるような発言をしている。

《これまで、自分はこうじゃなきゃいけない、って、自分で自分をがんじがらめにしてたのかな。Perfumeのあ~ちゃん像に近づきたいとか、理想に応えたいとか、そうならなきゃいけないって知らず知らず思っていたり。今はもっと軽やか。〈これ、なんかいいと思うんだよね〉って感覚で、思ったことを大事にして、それを形にして、その時、今を生きてる感じ》(『音楽と人』2025年9月号)

あ〜ちゃんの結婚の証人はかしゆかとのっちが務めた(あ〜ちゃんのインスタグラムより)

 かつて、取材でインタビュアーから「夫婦も友達もしゃべり尽くして無言になってから、さらにいい関係になる」と言われたのを受け、あ~ちゃんが《でも、私たちは今もごりごりに毎日しゃべってるんで(笑)。そこにたどり着くまであと何十年かかるのかなあ。まだまだですね(笑)》と返したことがある(『AERA』2018年9月3日号)。だが、Perfumeはむしろ言葉を交わしているからこそ、互いに信頼を深めているように思われる。実際、かしゆかによれば、いつからか3人は《仕事と自分のプライベートな時間を両立させてるバランスをみんなで話し合って、限界が来る前に、心を豊かに保つようにしてる》という(『音楽と人』2024年11月号)。

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「また新しい挑戦へ進むため」に「コールドスリープ」へ

 Perfumeは昨年と今年、結成25周年を記念してアルバム『ネビュラロマンス』を前篇と後篇に分けてリリースした。周年記念のアルバムというとベスト盤を出すアーティストが多いなか、サウンドプロデューサーの中田ヤスタカが彼女たちのために用意したのは、パラレルワールドに生きる3人を主人公にした架空のスペースロマンのサウンドトラックという位置づけのコンセプトアルバムだった。