ミュージックビデオでは、中田のつくったストーリーをもとに、田中裕介監督が世界観を広げた。これがさらに今年、全国ツアーと東京ドーム公演において、映像で展開されるドラマとステージでのパフォーマンスをリンクさせる形でステージ化された。東京ドーム公演のラストは、初日前日(9月21日)にPerfumeが来年からのコールドスリープ(活動休止)を発表したのにあわせ、3人がそれぞれカウントダウンしながら花道を歩き、端までたどり着いたところで消えるという演出で締めくくられていた。
公式サイトに掲載されたコールドスリープの告知では《Perfumeはどんな形になっても3人でいれば一生Perfume。/その中で長く人生を共にしていくなら、より良くかっこいいPerfumeでまた新しい挑戦へ進むため、一つの区切りを持とうということになりました》と、その理由が説明されている。
「3人でいることが夢」「これが永遠じゃない」
いまにして思えば、彼女たちは今後もずっと3人で続けていけるかどうかということを、少し前からインタビューでそれとなくほのめかしていた。たとえば、かしゆかはインタビュアーからPerfumeとしてずっと活動していてほしいと言われ、《それは私も思うけど、何事にも〈ずっと〉はないと思いませんか?》、《永遠はないんですよ。でも永遠を夢見ることは大切》と返していたし(『音楽と人』2024年11月号)、あ~ちゃんも《3人でいることが目標になって、夢になって、ずっとそうでありたいって思ってるけど、そう思えば思うほど、これが永遠じゃないってこともわかってくる。だからその一瞬を大事にしたいなって思ってる》と口にしていた(同誌2025年9月号)。
『ネビュラロマンス 後篇』に収録された1曲「巡ループ」では、3人が自分たちの軌跡を顧みるような歌詞にあわせ、ダンスにも過去の楽曲から色々な振付が織り込まれており、ファンのあいだではあれこれ考察された。中学時代に合唱部だったのっちが「合唱感がある」と紹介しているように、3人の声がこれほど生っぽく聞こえる曲はPerfumeには珍しいかもしれない。今年の紅白歌合戦ではこの曲と、2008年の初出場のときの曲目である「ポリリズム」が披露される。
MIKIKOによれば、Perfumeの3人には「オフの日」も休みではなく、パフォーマンスのためにトレーニングしたり身体をケアしたりと準備の日だという。それだけに今回のコールドスリープは、3人のためのご褒美ともいえそうだ。これ以前、所属事務所アミューズの大先輩であるサザンオールスターズが2008年から5年間の活動休止を経て無事に復帰している。その先例からすると周囲も万全のフォローをしてくれることだろう。いまは紅白のステージをPerfumeの25年間の集大成として見届け、彼女たちが再び目覚める日を楽しみに待つことにしたい。
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