松尾 まあ、僕としてはそんな前から解散を考えてなかったんですけど、加藤君はそういう風に感じ取ってたってことですもんね。
――じゃあ、それこそ結局、あの闇営業問題で謹慎になって……っていうのが、解散の大きな要因っていうこと?
松尾 もう100%それです。なんて言うか、解散の話をするたびにその話が出てくるから、あんまり言わないようにはしてたんですけど。
――100%なの!?
松尾 僕は、ですけど。
――謹慎してる時間に、コンビのあり方とか、お笑いへの向き合い方を改めて考えて、みたいなこと?
松尾 そういうことではなくて、お笑い業界にこのままずっといることに対して「あれ?」ってなったんですよね。
「20年前めちゃくちゃ楽しかったのに」
――「あれ?」というのは?
松尾 まずネタのところで言うと、コンビの終わりの2年ぐらいはもう事務所ライブにも出てなくて、新しいコントも作ってなかったんです。そうやってネタをやらなくなってから改めて思ったんですけど、芸人って「ネタ作り」以外、特にやることないじゃないですか。もちろんテレビでバンバン活躍してたら話は違いますけど、そうじゃない芸人はネタを作って舞台でかけてを繰り返すしかないじゃないですか。
――まあクリエイティブな面で言うとね。芸人ができることは主に「ネタ作り」っていうことになるかな。
松尾 今後テレビのレギュラーを持って、一生そっちでやっていけるかって言ったら、そんな確証はないし。じゃあまたイチからネタ作りを始めて、それを60~70歳くらいまでずっと続けるのも、なんか嫌だなって思ってしまって。あとテレビに出てるタレントさんも、ふとしたきっかけですごい叩かれたりする世の中じゃないですか。
――昨日までチヤホヤされていた人でも、何かあったら一転してドカーン!って叩かれてしまう。
松尾 「あれ? 20年前めちゃくちゃ楽しかったのに、いまあんまり楽しくないな?」って考えちゃって。
――20年前はSNSも盛んじゃなかったからね。いまは批判やバッシング、なんなら誹謗中傷が本人の耳にすぐ届くようになってしまった。
松尾 そうなんですよ。だから先々を考えたら怖いなと思って。20数年前の、僕らが芸人を始めたてのころって「芸人だったら何でもオッケー」みたいな空気だったじゃないですか。もちろん法に触れなければですよ。「だから芸人の世界に入った」みたいなところも、僕はちょっとあって。
――いまと比べるとだいぶ緩かったよね。そういう部分も含めて楽しそうに見えたし。
松尾 普通に社会に出て働くより、よっぽど楽しそうに見えて。そもそも「そういう世界で遊びたい!」と思って入ってきたのに、なんだかなあ……って、謹慎中にそういうことを、いっぱい考えてしまって。
――ちょうど時代的にあの「闇営業騒動」くらいからじゃないかな? やらかした芸人へのバッシングが大きくなってきたのって。これはあくまで僕のイメージだけど、1のことをやってしまった芸能人に、5とか10の叩き方をする人がネットで騒ぐようになってきた。ごく一部の人だと思うけど。