「コスプレイヤーで経営者」の肩書は唯一無二だし、面白いかなと思った

――どういうことですか?

くりえみ コスプレイヤーとして活動する中で「自分というIPは永続的ではない」と意識していたんです。個人の魅力や存在に依存するビジネスって、年齢であるとか時間の制約があって、属人性に紐づいている以上、いずれ限界が訪れるなあと。

 メディア戦略の点から見ても、市場にはすでに「日本一のコスプレイヤー」と称される人がいましたし、メディアは基本的に2番手を積極的に押し出すことはしません。冷静に考えたとき、個人IPに全てを賭け、100%自分自身を張って勝負することは、賢いやり方ではないなと思ったんです。

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 なので、挑戦しないのではなく、限られた時間と資源を使うなら、より先のあるものへ投資すべきだというにが当時の考えでした。

©山元茂樹/文藝春秋

――起業も、あくまでタレントとしてメディアに出るための手段だったんですか。

くりえみ 最初はそうでした。タレントとして考えたとき、「ただのコスプレイヤー」はメディアからすれば必要ない。でも「コスプレイヤーで経営者」というセットの肩書だったら唯一無二だし、面白いかなと思ったのが最初のきっかけでした。

 ただ経営をやり始めたら、今まで自分が知らなかった世界がどんどん見えてくるようになって、衝撃を受けちゃって。楽しいなって思っちゃったから、気づいたらもう経営の方にズブズブになってましたね(笑)。

経営者を目指しDMを100通近く送信…いきなり社長になることに

――経営者になる方法も独特で、手当たり次第に「経営者になりたいんです」とDMを送るんですよね。

くりえみ 送りましたね。まず中学生ぐらいの時から美容の皮膚治療をしていたこともあって「美容クリニックを自分で経営したら、手術代全部タダになるな」と美容系に絞って、DMを100通近く送りましたが、返信はほぼ返ってきました。

 私はフォロワーが多かったのもあって面白がってとりあえず話を聞いてくれる経営者の方であったり、あとコスプレやグラビアもしていたので、面白半分で返信をしてきた人も中にはいたと思います。

©山元茂樹/文藝春秋

――その中の一人の経営者から、新たに立ち上げる美容外科の関連会社の社長にならないかと誘われます。ただ、いきなり社長になっていいというのはその時点で怪しくないですか?

くりえみ 今の自分だったらあり得ないですね。ただ当時は相手がまともかどうかという判断もつかずに、とにかくすがる思いだからやったという感じです。実際、形だけの社長じゃなく、全体戦略だったり、ほぼ全部の会議に社長として出てました。ただ社員にはめっちゃ白い目で見られましたね。