「お父さんにレイプされたから家を出たい」
――スズちゃん。
廣瀬 スズちゃんは違う中学の女の子で。お父さんがダンプの運転手で、「お父さんにレイプされたから家を出たい」と言っている子でした。
「廣瀬にぴったりな子がいるんだ」といって紹介されてきた子がスズちゃん。「お父さんにレイプされるから帰りたくない。家出してもいられる場所を探していてさ」って言うので、「うちに来ちゃいなよ」って。うちはお父さんもお母さんも家にあんまりいないからたまり場になっていたので。
スズちゃんと私の部屋で暮らすようになって、2人で原チャリに乗ったり、スズちゃんの同級生たちと仲良くなったり、よその中学の一番悪い子とタイマン張ったりと、ヤンキーまっしぐらになっていきましたね。
――廣瀬さんの部屋がたまり場になっていることに、お姉さんは難色を示したりは。
廣瀬 ずっと部屋で勉強していて「我関せず」って感じでした。他人に興味がないんですよ。勉強ばかりだから。でも仲が悪いというわけではなく、「お腹がすいたけど何かある?」とか、そういう会話ぐらいはしていました。
父親のクラウンを盗んで中学に登校
――廣瀬さんの家に集まる子たちは、スズちゃん以外もなにかしら問題を抱えていたのですか。
廣瀬 やっぱり片親が多かったりして、家庭環境がよくない子が多かったですよ。お父さんがヤクザとか、親がまったく面倒見てくれないとか。うちがたまり場になっていると言う話を聞きつけて、他の中学からもたくさんくるようになって。
とにかくうちでは自由でいられましたからね。私のお父さんも帰りが遅いし、お母さんは酔っぱらって帰ってきて寝るというだけだったし。
――そうなると学校にも完全に通わなくなりそうですね。
廣瀬 中2あたりまでは、たまにお腹すいたら給食を食べるためだけに学校へ行ってました。お父さんのクラウンの鍵を盗んで、自分で学校まで運転して、職員の駐車場にクラウンをキチンと停めて、給食を食べて、また車で家に帰ってました。
先生がお父さんに電話して、「お父さんのクラウンに乗って来ているんですけど」って。で、お父さんが慌てて会社の社員に車を取りに来させるみたいなことは何十回もありました。
――クラウン、マニュアルですか?
廣瀬 オートマ。同級生の悪い男の子たちに、「マニュアルはちょっと難しいけど、オートマは簡単だから乗ってみ」みたいな感じで運転の仕方を教わりました。
写真=志水隆/文藝春秋
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