おや? むこうに白い煙が…
駅の南側も本質的には北口側とまったく変わらない。街の中を地蔵川という小さな川が流れ、いくらか北口よりはのどかさが勝つといったくらいだ。
その地蔵川の土手を歩いていたら、少し離れたところに煙が立ち上る大きな煙突が見えた。王子製紙春日井工場だ。
この王子製紙の工場は、もともと戦時中に設置された陸軍の造兵廠だったという。他にも春日井市内には造兵廠が置かれており、そうした背景のもとで勝川町など複数の町村が合併して春日井市になったという。
ただ、それ以前の春日井、勝川駅一帯は駅前のわずかなエリアを除いて田園地帯だったようだ。近くを庄内川が流れていて水に恵まれた稲作地帯。
古く、勝川は「徒歩川」などと呼ばれており、江戸時代には下街道の宿場町が置かれていた。田園地帯の中にあって、勝川は東春日井郡の行政・経済の中心地だったというわけだ。
だから、1900年に中央線の駅が置かれたというのもとうぜんのなりゆき。近郊農業の町から軍需工場の進出を経て、戦後は急速にベッドタウンとして発展した……。大都市近郊であれば、日本中どこででも見かけることのできる、ありふれた歴史といっていい。
ぷつんと切れる高架線の“ヒミツ”
……と、このあたりで勝川駅のナゾを明かさねばなるまい。
勝川駅北口から高架の線路に沿って西側へ。10分ほど歩いて中央線の高架が南にカーブしてゆくあたりまで来ると、高架の一部分が不自然に途切れるのだ。
そして、わずかな間を置いて、また別の高架がそこに立つ。高架下には、「城北線 勝川駅」と書かれた小さな看板が掲げられていた。
そう、勝川にはもうひとつの勝川駅があったのだ。JR東海交通事業城北線の終点、勝川駅である。





