健康診断のシーズンを迎え、結果に一喜一憂している人も多いはず。年間3万人を診察する総合診療医の伊藤大介さんは、「健康診断こそが深刻な病気の『芽』を摘むことができる唯一の方法です」と強調する。
そんな伊藤さんの著書『総合診療医が徹底解読 健康診断でここまでわかる』には、健康診断の受け方を180度変えてしまうような目からウロコの活用術が満載。
今回はアルコールの影響を知るための健康診断活用法を紹介する。お酒の飲み過ぎによって、肝硬変など重篤な病気を発症するリスクが高まるが、実は「γ-GTP」をはじめとする肝機能の項目以外にも、アルコールの影響度を知ることができる検査項目があるという。
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アルコールの影響は肝機能だけでは判断できない
健康診断を受ければ、日頃のアルコール摂取が、どれほど体に影響を及ぼしているか分かります。ただ、ここで注意すべきなのは「アルコールの影響は肝機能だけで判断してはいけない」ということです。
アルコールの影響を測る指標として最も有名なのは、「γ-GTP(ガンマ─ジーティーピー)」でしょう。正式名称は「ガンマ─グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GlutamylTransPeptidase)」で、アミノ酸の生成や代謝に欠かせない酵素です。胆道から分泌されるもので、薬物の解毒作用を持ち、特にアルコールの解毒に関わっています。
お酒をよく飲み、アルコールの摂取量が多い人は、その分だけγ-GTPの数値が上がりやすくなると言われています。
当然、医師も着目するので、「γ-GTPの数値が高いので、お酒の飲み過ぎではないですか?」と言われたことがある人も多いでしょう。一方で大量にお酒を飲んでいるにもかかわらず、意外にγ-GTPの数値が安定しているケースもあります。そのため「私の肝機能は何も悪くなっていないんだな」と安心してしまい、そのままお酒を飲み続けている人もいるはずです。
しかし、飲酒する人の中には、アルコールの摂取量が多いほど、γ-GTPの数値が下がってしまう「poor responder(低反応者)」と呼ばれる人がいることが分かっています。何とも逆説的な話ですが、一つ言えることは、γ-GTPの数値だけではアルコールの影響は判断できないということです。
そのため、日頃からお酒をよく飲む方は、γ-GTPだけでなく他の指標も気を付けて見た方がいい。
ビールジョッキ2、3杯分で一気に尿酸値が上がる
では、何を見ればいいのか。例えば、「尿酸値(UA)」はその一つです。
尿酸と聞けば、突然、足の指が激痛に襲われる「痛風」をイメージしがちですが、尿酸は「プリン体」という物質が体内で分解されてできる燃えカスのようなもので、アルコールの摂取によって増加することが知られています。
2005年に国立保健医療科学院の研究者らが発表した、日本人の男性715人を対象にした調査の解析結果によると、アルコールに含まれるエタノールを1日50g摂取すると、尿酸値が基準値である7・0(mg/dL)を超える確率が、アルコールを全く飲まない人と比較して2・89倍も高くなることがわかっています。1日25~49g摂取している人でも尿酸値の基準値を超える確率が2・64倍にまで高まる。つまりビールジョッキ2、3杯分のアルコールを飲めば、一気に尿酸値が上がってしまうのです。
ちなみに聖路加国際病院の医師らが2023年に発表した、約8万人を対象に行った調査によると、日本酒に比べて、ビールや焼酎、ワインなどの方が、尿酸値が上がりやすいことも分かっています。

