氷点下を下回る雪山での訓練

――具体的にどんな訓練をするんですか。

ジェレミー 一番厳しかったのが、冬の山中訓練です。カナダからアメリカにかけて伸びているアパラチア山脈があるんですが、そこで約30日間生活しながら任務を遂行しました。

 1グループ30人の編成で、実弾を扱わない訓練用の任務が与えられます。例えば、「あそこにある敵のアジトに行って、敵を退治して上官に報告すること」のようなシナリオですね。

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 ただ、教官がものすごくストレスを与えてくるんですよ。50キロ以上の重さのリュックを背負って、1日100キロくらい歩かされたり、飲まず食わずでほぼ徹夜だったり。地獄でしたね。

 雪も積もっているし、氷点下を下回っているので、足や手の感覚がなくなります。栄養が足りないので爪が伸びなくなって、かすり傷も治らなくなる。シャワーも浴びれないので、身体もどんどん汚くなっていきます。

 

地獄のレンジャースクールを経てアフガニスタン戦争へ

――睡眠もコントロールされるんですね。

ジェレミー 1日の睡眠時間は全て教官にコントロールされています。グループ同士でミッションを競い合うのですが、それに勝ったチームだけがその場に立ったまま30分だけ目をつぶることを許されるという感じでした。

 寝ていないと幻覚も見えてくるんですよ。夜間の視認性を確保するためにナイトビジョンゴーグルをつけているんですけど、緑と黒に覆われた世界なのに、いきなり人間が現れます。

 ある訓練生は自動販売機があると信じ込んだようで、その場に棒立ちしてコインを入れる仕草をしていました。「お前、何しようや。自販機なんてないよ。こっちに来いよ」と声をかけて現実に引き戻しましたね。

 

――極限の状態ですね。自分からドロップアウトする人はいないんですか

ジェレミー たくさんいます。自分から辞めたいと言えば辞められるんですよ。でも戦場は訓練よりも厳しい。訓練で諦めた人は戦闘でも諦めます。それは仲間を見捨てることだし、その家族も見捨てることなんです。だから一度ドロップアウトした人は二度と合格することはできません。

――レンジャースクールを卒業した後、いつアフガニスタンに行ったんですか。

ジェレミー 実はレンジャースクールに入る前から行くことが決まっていたんですよ。期間は10か月間。アフガニスタン戦争が始まって10年以上が経った2012年のことですね。30人規模のライフル小隊の隊長としてアフガニスタンに向かいました。

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