「うわー、殺してくれー」

 取り押さえられた男は、そう泣き叫んだ。だが、その裏で明らかになったのは、2件の強姦事件にとどまらない“さらにおぞましい真実”だった。DNAが暴いた連続不審死、否認を続ける男、そして下された重すぎる判決とは――。平成26年、新潟県で起きた事件のその後をお届け。なお登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目/最初から読む

写真はイメージ ©getty

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「殺してくれー、殺してくれー」

 何と、運転免許証の住所変更の書き換えのため、比嘉が警察署を訪れたのだ。警察は千載一遇のチャンスとばかりに、一連の事件の容疑者として行動確認を開始。比嘉がコンビニのゴミ箱に捨てたペットボトルを回収したり、飲食店で使った割りばしやジョッキグラス、タバコの吸殻などを回収して、DNA鑑定で確認。その結果、見事に陽子さんや理恵さんを襲った犯人のDNAと一致し、2人に対する強姦容疑などで逮捕した。

 その後、余罪を調べていたところ、もっと恐ろしい事実が判明した。地元署管内では、ここ1年以内に3件の若い女性の不審死事件が相次いでおり、そのいずれの現場からも比嘉と一致するDNAが検出されたのだ。これらの件で比嘉を追及すると、「身に覚えがない」と関与を否定し、それからは黙秘に転じた。

 警察は陽子さんや理恵さんの事件とは別に、帰宅途中の女性(同29)がコインパーキングで車に乗り込んだところ、後部座席に男が押し入り、「言うこと聞かなきゃ殺すけなぁ。港へ連れて行けよ!」と脅し、首を絞めてわいせつ行為をしようとしたが、被害者の抵抗に遭って未遂に終わったという事件を立件し、3度目の逮捕にこぎつけた。

 その事件に対する裁判所での勾留質問中、比嘉は見張りの警察官の目を盗んで、部屋の窓から逃げ出し、約390メートル離れた新聞販売店内で取り押さえられたが、「うわー、殺してくれー、殺してくれー」と泣き叫ぶという騒ぎを起こした。