機雷を見逃せば一発撃沈…まさに油断大敵の現場

 航海中は、機雷を見逃して触雷しようものなら、排水量7000t超の「ときわ」とて一発撃沈であり、一瞬の油断が命取りとなる。艦首、艦橋からの「見張りを厳となせ」の命令は徹底されており、不肖・宮嶋も真夏のペルシャ湾内の鋼の甲板で目玉焼きが出来そうなくらいな灼熱の中、「機雷はいずこ」と部隊とともに汗と冷や汗をかいていた。

掃海戦中は当直員以外も万一の触雷に備え、冷房の効いた艇内に入ることすら許されず、ライフジャケットと防弾ヘルメットを着用したまま、甲板に待機する。

 そもそも機雷といっても、日露戦争時代のような、海面にプカプカと浮かぶトゲだらけの毬栗(いがぐり)のようなものだけではない、いわゆる触発機雷。もっとも怖いのは、簡単に見つからないよう海面下に潜む、係維機雷や沈底機雷であった。係維機雷は海底から係留され、海中をブラブラしている機雷。沈底機雷は文字通り、海底に沈んだままの機雷である。

 そんなんでどうやって船を沈めるんや……というと、艦体の磁気や航行中に出す音響、さらに微妙な水圧などを感知して目標深度まで上昇して爆発し、巨艦のキール(竜骨)ですら一発で折るのである。さらには感知した目標を追尾するホーミング機雷まであった。

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 機雷戦の最前線となる掃海艇が木造で小型だったのは、これらの探知機能を避けるためである。まあ現在は、耐用年数が長いFRP製(強化プラスチック製)に取って代わられているのだが。

機雷を見つけて終わりではない

 日本はそんな木造掃海艇を造船できる技術を備えているうえに、世界トップレベルの掃海戦の「実戦経験」もある。先の大戦により、日本近海には日米双方がばらまいた機雷が無数にあり、現在も機雷は発見され続けている。朝鮮戦争では非公式に掃海艇が派遣され、その際は不幸にも「戦死者」まで出した。

 そんな危険極まりない機雷を処理するためには、まずは慎重に係維索を切り、浮揚させなければならない。その後、離れた洋上から掃海艇艦首に備わる20mm機関砲で射撃して誘爆させ、無力化させるのである。

掃海艇「あわしま」艇首に設置された20mm機関砲と射撃手。掃海艇から曳航する係維掃海具により海中の係維機雷の策を切断し、浮遊してきた機雷をこの20mm機関砲で射撃して誘爆させる。映画「ゴジラ-1.0」に登場したのと同じ手法である。

 それができない機雷にはEOD(Explosive Ordnance Disposal=水中処分員)が海中の機雷まで潜って近づき、機雷にC-4(プラスチック爆薬)を仕掛けてから、これまた離れたとこから誘爆させる。排水量10万tの原子力空母でさえ一発で沈められるほどの威力があるという機雷にびびって触針にちょこっと触れたり、自らが仕掛けるC-4を誤爆させたりでもしたら、人間の体なんぞきれいに消し飛んでしまう。

海中の機雷に誘爆用のC-4(爆薬)を仕掛けるEOD(水中処分員) の高見2曹と波田野3曹。掃海母艦「はやせ」甲板で爆破処分装備一式を披露してくれた。

 そんなクレイジーな任務を担っていたのが、高見2曹と波田野3曹らEOD(水中処分員)である。危険極まる任務に就くお二方はさすがぶっ飛んでおられ、機雷に向かう途中でフカに遭遇しても「足ひれで鼻っ面はたけばすぐ逃げるよ」と余裕をかますくらいであった。それくらい普段から恐ろしい訓練をやっているのである。