連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK総合)が3月27日に最終回を迎えた。小泉セツと小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)をモデルとした、雨清水トキ(髙石あかり)と、雨清水八雲ことヘブン(トミー・バストウ)の何気ない日常を描き続けた本作。物語は、トキが亡き夫・ヘブンとの日々を綴った『思ひ出の記』が出版されるところで幕を閉じた。
トキが懐かしむ、ヘブンとの「他愛もない、スバラシな」毎日。『思ひ出の記』の装丁を背景に、トキの回想を映し出すエンドロールでは、時にクスリとさせられ、時に爆笑させられた「あのシーン、このシーン」が流れた。本編で見た時にはあんなに笑ったシーンなのに、トキと一緒にそれらを振り返れば、なぜだか涙が止まらない。
『ばけばけ』を貫いた、こうした「泣き笑い」の「笑い」の部分は、いかにして生まれたのか。脚本を手がけた、ふじきみつ彦さんに聞いた(全2本の1本目/続きを読む)。
――朝ドラという老若男女が視聴する枠で「笑いの匙加減」って、すごく難しいと思うのですが、『ばけばけ』はその塩梅が絶妙でした。どんなことを心がけて書かれましたか?
「うまく伝わった作品」と「伝わってなかったかもしれない作品」
ふじきみつ彦さん(以下、ふじき) 実をいうと、「朝ドラだからこうしよう」ということはあまりなくて、今までの僕の脚本の書き方からほぼ変えていないんです。「こういうことを書いたら、朝ドラっぽくないのかな」みたいなことを一切考えずに書ける環境を、スタッフの皆さんが作ってくださったのがありがたかったです。
制作統括の橋爪(國臣)さんと、チーフ演出の村橋(直樹)さんにとても感謝しています。おふたりが「ふじきに脚本を書かせるのであれば」と、腹を括ってくれたというか、僕に合わせてくれたというか。
――キーパーソンのおふたりがふじきさんの作家性を深く理解して、ドラマ作りをしてくれたと。
ふじき 制作が決まってすぐの頃、村橋さんが、僕が過去に書いた作品を見て、僕の意図が「うまく伝わった作品」と「伝わってなかったかもしれない作品」を仕分けして、僕に聞いてきたんです。「あの作品って、ふじきさんとしてはどうでした? 好きでしたか?」「思ったとおりに現場に伝わってました?」と。僕が「こういう本だったら、これぐらいの笑いを求めている」という塩梅の確認を、最初にしてくれたんですね。それを村橋さんが他のスタッフさんやキャストの皆さんに伝えてくれました。
――2025年の放送開始直前、村橋さんに取材した際に「長年ふじきさんと一緒に舞台をやってきて、ふじき脚本を最も理解している岡部たかしさん(トキの父・司之介役)のお芝居をお手本にしてくださいと、キャストの方々がクランクインするたびに伝えた」という主旨のことをおっしゃっていました。



