なぜ、高速で炭火焼きできるのか?

 その秘密は、通常の半分の時間で魚の焼き上げが可能と謳っている、独自開発した幅1メートルほどの巨大な炭火焼き台にあるようだ。

炭火で焼くのに、比較的短い時間で提供できるのもしんぱち食堂の強みだ(同社公式サイトより)

 構造を客席から眺めてみたところ、炭火の下にも魚を入れられるというちょっと特殊な2段式構造になっているようだ。置き場所を変えたり、フタをして蒸し焼きにしたりと手を尽くしながら、まとまった数の魚を焼き上げていた。

 通常の定食屋だとフライヤーやコンロなども設置する必要があるので、しんぱち食堂のようにビッグサイズで高火力の炭火焼き台を置く余裕はないだろう。提供メニューを魚に絞った上で調理工程のほとんどを炭火焼き台に集中させ、客を待たせないだけでなく「ピーク時でも1店に多くてスタッフが3~4人」という省力化にも繋がっているのだ。

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ただひたすらに食事して、さっさと帰る仕様

 最後の強みは、SNSでもよく言われているように「とにかく黙々と飯を食う」仕様になっていること。どの店もカウンターがメインで、椅子もインテリアもあまり長居しようがない素っ気なさである。

 ファミレスのようなドリンクバーももちろんなく、店内のBGMも鈴虫の声が響くのみ。サッと出てきた焼きたての魚とデカいメシ、デカいみそ汁を「うまい、うまい!」とかき込んで帰る仕様なのだ。だからこそ、普通の定食屋の数倍程度に当たる「1日25回転」で、どんどん客が入れ代わって利益を落としていく。

 しんぱち食堂の強みをまとめると、家ではまず作れない「炭火焼きの魚干物」に全振りしたことでメニュー選びの選択肢が豊富かつ提供も速く、サッと食べてサッと帰れる環境を作ったことにある。リーズナブルな干物定食に対する利用客の好感度も高く、経営する側も「少人数で運営」「長居されずに客が高回転」というメリットを享受できるのだ。

夜は「ちょい飲み天国」に変貌

 こうした強みの他に見逃せないのが、ちょい飲み需要への対応である。