女性の体型に関するセリフ

 ファッション界が舞台なだけに、『1』では女性の体型に関するセリフ「痩せている」「細い」が頻繁に飛び交う。モデル体型ではないアンディはアメリカン・サイズの「6」だが、ファッション界においては許されないサイズであり、ミランダは仕事でミスを犯したアンディを叱責する際に「fat girl」(太った女の子)と、コンプライアンス上、今では口が裂けても言えない言葉を口にする。

 しかし近年は「ボディ・ポジティブ」(どんな体型も多様性として肯定的に受け入れ、表現すること)が謳われ、ミランダでさえそれを自覚し、自虐的なジョークを発する。さらに、ミランダの第2アシスタントは肥満体型のチャーリー(ケイレブ・ヘロン)だ。『2』の制作陣は前作の行き過ぎとも思える「ボディ・シェイミング」(体型をネガティブに表現し、辱めること)を自ら認め、改める必要があったのだろう。

『2』の公開前にSNSで激しく紛糾したのが、予告編に登場したアンディのアシスタントだ。その外見とキャラクター描写が「アジア系のステレオタイプ」だとして、在米アジア系だけでなく日本、韓国、中国、台湾からも非難囂々となったのだった。

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人種マイノリティの描かれ方は…

『1』は、主要キャラクター4人以外の主だった登場人物も、ほぼ全員が白人だった。人種マイノリティで最も登場シーンが多かったのは、アンディの親友リリー(トレイシー・トムズ)。次いでミランダが才能を認めたデザイナー、ジェームス・ホールト(ダニエル・サンジャタ)。ランウェイの編集員ポール(ジョージ・C・ウォルフ)は編集会議のシーンでセリフがあった。3人とも黒人であり、アジア系やラティーノは登場しなかった。

『2』ではミランダのアシスタント、アマリ役にインド系イギリス人のシモーヌ・アシュリーが抜擢されている。アマリの登場シーンは多く、毎回、スタイリッシュなファッションをスリムな体型で着こなし、メディアと観客の双方から評価された。

アマリを演じたシモーヌ・アシュリー。インド系イギリス人で、Netflixドラマ 『ブリジャートン家』のケイト役などで知られる(インスタグラム@simoneashleyより)

 独特のオーラを放つアシュリーは今夏のバーバリーの広告に起用され、5月4日に開催された毎年恒例のファッションの一大祭典、MET Gala(メット ガラ)*でのドレスも注目された。

*MET Gala: ニューヨークにあるメトロポリタン美術館(MET)のコスチューム・インスティテュートが、その運営資金を賄うために毎年5月に行うイベント。著名デザイナーが各界セレブを招待し、セレブはその年のテーマに沿った華やかな衣装を着て出席する。