沖縄戦から70年以上経過したその場所は、人の手が入っていない場合が多い。現在では植物が覆い茂り、場所によっては風雨や土砂の流入によって土や葉っぱが堆積して地形が変わり、周囲の風景に溶け込んでいる。具志堅さんが遺骨収集する現場はそのような場所だ。

ガマ内部での感覚の変化

 ガマの中は場所によって様々だが、総じて暗く、ジメジメしている。足元は土や泥でぬかるんでいる場所が多く、移動する際はできるだけそれらを避けて岩の上を歩いた。しかし、その岩も多湿のため滑りやすくなっていて注意が必要だ。具志堅さんはカバンを背負って鍬やスコップを持ち、私はカメラや三脚を持ちながら不安定な岩を踏み締めて歩く。頼りになるのはヘッドランプの灯りだけだ。だが、下ばかりを見ていると危ない。頭上に岩がせり出していたり、つらら石(天井から水滴が落ちる際に石灰石の成分が残り、それが長年かけてつらら状の石になったもの)があったりして、頭をぶつけることになる。

 ガマまでの道すがら、あるいはガマの入り口付近では沖縄でおなじみのハブ(猛毒を持つ蛇)を見ることもある。ガマの内部にはヘッドライトの光にあつまる蛾のような小さな虫がいる程度だが、奥深くまで進むと急に奇妙な物音を聞くことがある、それはほとんどの場合、コウモリの鳴き声か羽ばたく音だ。私も何度かコウモリに襲撃されて(コウモリからしてみれば闖入者に対する威嚇なのかもしれないが)足を滑らせ、足元の岩に腿を打ちつけ怪我をした。

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 これは余談だが、撮影者が何らかのアクシデントで転んでしまった場合、当然ながら一番に考えるべきはカメラが壊れないようにすることだ。それを第一に優先して転倒した結果、見たこともない転び方をするときがある。カメラを持った手を上げて受け身が取れず背中から転ぶ者、カメラを抱き抱えたが故に豪快に顔から転ぶ者、等々。私も今回の撮影で何度かそうせざるを得ない転び方をして見事に身体を傷めた。幸いにもすべて軽傷で済んだが、毎回ひやりとする。