「あと10センチ掘ったら、戦没者と出会えるかもしれない」――。
沖縄の地中で、40年以上も手作業で遺骨収集を続ける具志堅隆松氏。彼に密着したドキュメンタリー映画『骨を掘る男』の監督・奥間勝也は、暗闇のガマ(自然洞窟)でカメラを回し続けるうち、「いつ撮影を止めていいのか分からない」というドキュメンタリー特有の壁に直面する。
何時間掘っても遺骨が出ない日もある。具志堅氏自身、「10回やってヒットは1回」と笑う。しかし、彼は「一番下まで掘って遺骨が見つからなくても、それはそれで良い結果だ」と語った。終わりのない遺骨収集の真の意味とは。そして、カメラを回し続けた監督が気づいた“自分自身と沖縄戦の繋がり”とは。『骨を掘る男』(大和書房)の一部を抜粋して紹介する。
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見えない戦没者とのセッション
戦没者が隠れるような場所はほとんど狭くて暗い。したがって撮影現場も暗い場所が多かったが、照明は使わずに暗さは暗さとして受け入れ、具志堅さんのヘッドライトを頼りに撮影を進めた。それは結果的に沖縄戦当時の現場の状況と近い形での撮影となり、劇場で見る観客もそれらを追体験するように観てもらったと感じている。現場の場所があらかじめ決まっているような場合は基本的に三脚を使って撮影したが、移動しながら収集活動する場合は三脚は持って行けず、手持ちでの撮影となった。狭い空間においては撮影のアングルは限られ、湿った岩場やぬかるみで足場は不安定なものとなり、長時間の手持ち撮影は想像以上に体力を消耗した。暗さや狭さ、あるいは足場の悪さといった条件と折り合いをつけながら、私は具志堅さんの方へとカメラを構える。そして、黙々と土を掘る具志堅さんの身体の動きを観察しながらカメラの画角を決め、録画を開始するしかるべき時を待つ。
